デジタルマーケティング

リスティング広告の始め方から運用方法まで解説

2021/12/08

リスティング広告はWebマーケティングを始めるに際して、比較的選ばれやすい施策です。キーワードとテキストを中心とした広告なのでデザイナーに頼らず広告を制作できます。一方でキーワードの数だけターゲティングが設定できるため戦略は様々です。

・ユーザー意向が高いキーワードの選定
・競合するサービスとの差別化
・自社サービスに合うキーワードの発見

リスティング広告の考え方は3C分析の構成そのものです。

・Customer (顧客)
・Competitor (競合)
・Company (自社)

キーワードの配信データから顧客分析ができたり、他社の広告からポジショニングを図ったり、自社サービスの強みを見直すことにも役立ちます。

本記事は下記の目的をお持ちの方向けにお届けいたします。

・これから自社でリスティング広告を始める方
・これからリスティング広告の運用を始める方
・リスティング広告の投資対効果を改善したい方

全4部構成で
<基礎編>はリスティング広告の解説から機能の説明をしています。
<導入編>はリスティング広告を始めるにあたってアカウント設計方法を説明しています。
<運用編>はリスティング広告運用の配信開始から設定の調整方法を説明しています。
<応用編>はリスティング広告の投資対効果まで分析する方法を説明しています。

リスティング広告運用の参考になれば幸いです。

Contents

「基礎編」リスティング広告とは?

GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索結果に広告枠があり、検索キーワードに応じて自社の広告を表示することができます。

例えば自社サービスで「スニーカー専門のオンラインショップ」を展開しており、ネットでスニーカーを探しているユーザーに広告を表示したい場合、「スニーカー 通販」で検索したユーザーに自社の広告を表示することができます。

リスティング広告は上記のようにテキストを中心とした構成で広告が表示されます。

テキストの規定は以下になります。

タイトル文 ①:全角15文字(半角30文字)
タイトル文 ②:全角15文字(半角30文字)
説明文:全角45文字(半角90文字)

上記キャプチャの広告を例にすると、

タイトル文①
【ナイキ公式】オンラインストア

タイトル文②
オフィシャルだけの品揃え

説明文
NIKEの人気スポーツ用品/メンバーならいつでも送料無料。サイズ、カラーも豊富。季節のオススメやベストセラー、クリアランスが勢揃い。ジブンだけのカスタマイズも。 スニーカーをカスタマイズ・クリアランス実施中・新商品情報満載・人気スニーカー多数。

となります。

リスティング広告はどこに表示されるのか?

一般的には検索結果の「最上部の4枠」と「最下部3枠」に広告を表示することができます。ただし検索エンジン側の判断で、キーワードによって広告枠が表示されなかったり、広告枠の数が少ない場合があります。

広告枠に表示される順番はオークション形式になっています。設定したキーワードの入札金額が高い順、検索キーワードが広告の内容にマッチしているどうかを評価する広告ランクによって掲載される順位が決まります。

広告費用はユーザーが広告をクリックしたタイミングで発生します。検索キーワードに応じて広告のクリック単価が違うため、キーワード毎にクリック単価を設定します。広告出稿が多いキーワードほど広告枠が競合するため、クリック単価が高くなります。

リスティング広告は誰に表示できるのか?

リスティング広告は検索キーワードに応じた広告配信に加え、様々なターゲティングを設定することができます。大きく分けて下記6つのターゲティング設定が可能です。

・検索キーワード
・ユーザー属性
・オーディエンス
・地域
・時間帯
・デバイス

<検索キーワード>
冒頭にも説明している通り検索キーワードに応じて配信が可能です。キーワード毎にユーザーが検索する数や1クリックあたりにかかる費用が変わります。広告配信したいキーワードの検索数や1クリックあたりの費用を調べるには、Google広告の機能で「キーワードプランナー」というツールがあります。

検索ボリュームが多ければ多いほど、より多くの見込み客に配信することができます。
他社の広告出稿量が多いキーワードほど、競合性が高くクリック単価も高いです。

・ユーザーの購入意向が高いキーワードでいかにCVを獲得できるか。
・競合がまだ見つけていないようなキーワードでCVを獲得できるか。

といった例のように、
バランス良くキーワード選定して投資対効果の比較をおすすめします。

<ユーザー属性>
キーワード以外のターゲティングでユーザーの属性毎に配信設定することができます。自社のサービスに合ったユーザー属性を選ぶことができ、逆に合わないユーザーを配信から除外することができます。

Googleアカウントで登録している情報やGoogleのネットワーク上で検索やWebサイトの閲覧履歴からユーザー行動を分析してユーザー属性をカテゴライズしております。ユーザー層を特定できない場合は「不明」扱いになり、不明扱いの層は比較的多いので「不明」の層は配信することをおすすめします。ユーザー属性毎にデータを確認したり、効果の悪いユーザー属性の配信を除外することができます。

<オーディエンス>
ユーザーの興味関心や購買意向にターゲティングができます。リスティング広告では「モニタリング」という機能が推奨されてます。指定したセグメント毎に配信結果を確認したり、セグメント毎に入札単価を調整することができます。効果が良いセグメントに入札調整で広告表示回数を増やしたり、減らすことができます。

自社サービス「スニーカー専門のオンラインショップ」であれば、オーディエンスの購買意欲の強いセグメント「靴」のセグメントユーザーに通常より高い入札単価を設定して、見込みの高いユーザーへ配信を強化することができます。

<地域>
ユーザーがいる地域、よく訪れる地域、その地域を検索しているユーザー(このセグメントは選択可能です。) で配信地域を選ぶことができます。都道府県や市区町村レベルで配信地域を選択することができます。

自社サービスで「サービスを提供できる地域」「購入に繋がりやすい地域」「利益率の高い地域」などビジネスに合う地域のセグメントに配信をすることができます。

<時間帯>
広告を配信する時間帯や曜日を選ぶことができます。また配信結果で曜日や時間毎のデータを確認することができますので、配信結果を見て効果の悪い時間帯は配信しないように設定することができます。

自社サービスで「お問い合わせの対応ができない時間帯」「購入されやすい時間帯」「曜日によって結果のばらつきがある」などビジネスに合わせて設定することができます。

<デバイス>
デバイス毎に配信結果を確認することができます。
またデバイス毎に「入札単価調整比」があり、+100%したら今の入札金額の100%分を加算した入札単価で配信ができます。- 100%にした場合は今の入札金額に100%分を引いた入札単価=0円になります。結果、そのデバイスで配信をしないといった設定が可能です。

<各設定項目について>
各設定項目で入札調整や配信停止の設定が可能です。自動入札を設定するとコンバージョンデータをもとにこれらの配信設定の入札比率を自動で調整します。ユーザーのあらゆるシグナル(属性や興味、時間や地域、デバイスなど) をもとに判断してコンバージョンする可能性の高いユーザーへの配信量を増やします。

まったくビジネスに関係無い、または可能性が低いセグメントは最初から配信を停止してそれ以外はいったん配信することをおすすめします。配信データを確認できるので結果を見ながら配信を調整することが確実です。

リスティング広告の活用イメージ

リスティング広告はキーワードを検索したタイミングで広告を表示できるため、ユーザーの目的に合わせてターゲティングすることができます。

・ユーザーが能動的に情報を収集している。
・なにか商品の購入を検討している。
・なにか目的を持って解決方法を探している。
・緊急性が高く急いで情報を収集している。

上記の様に商品やサービスへの購入意向が高いユーザー(顕在層)にリーチすることができます。

購入意向が高いユーザーに広告を出稿できる一方、同じキーワードで競合サービスが広告を出稿している可能性が高いです。ユーザーに自社のサービスを選んでもらうため、自社サービスの強みをアピールしたり、競合との差別化を図る必要があります。

また以下のように、ユーザーの目的がはっきりしにくいサービスやそもそもキーワードとして検索されにくいサービスは検索広告に向いていない可能性があります。

・まったく新しいサービスで検索語句があまりない。
・これまでにない新たな概念や言葉で、検索される可能性が低い。
・サービスカテゴリの認知度が低く検索される可能性が低い。

新しい概念や言葉を含むサービスの場合、いち早くユーザーの認知を獲得することで、そのサービスカテゴリの代表として認識され、競合商品との差別化を図ることができます。その場合はリスティング広告ではなく認知獲得のマーケティング手法をおすすめします。

リスティング広告のアカウント開設

リスティング広告といえばGoogle広告が代表的です。スマートフォンを中心にGoogleの検索エンジンを利用しているユーザーが多く、ターゲティングの種類の多さ、自動学習機能の精度の高さでもGoogleが優れています。まずはGoogle広告から始めることをおすすめします。

Google広告はオンラインですぐにアカウントを開設することができます。アカウント開設に必要なのはGoogleアカウント (Gmailアカウント)のみになります。Google広告のホームページから電話サポートやLINEサポートなどサポート体制は充実しています。専門のスタッフがアカウントの開設から配信開始、配信開始後のサポートまで対応してくれます。

機能や設定部分などで詳細に調べたい場合は、ヘルプページが用意されておりヘルプページ内で検索をすれば、すぐに知りたい情報にアクセスすることができます。

「導入編」リスティング広告を配信するには?

リスティング広告のアカウントを開設してから広告配信をするには、以下の設定をする必要があります。

・自社のWebサイトの成果地点を決める → CV計測の設定
・自社サービスで見込みの高いユーザーを選定する → キーワード選定
・キーワードによって予算や目標CPAを分けたい → アカウント設計
・ユーザーの意向や成果に直結する広告を表示したい → 広告文の作成

各項で詳しく解説していきます。

コンバージョンの計測設定

まずはリスティング広告を配信して、見込み顧客をWebサイトに誘導した結果、どの成果を増やすか決めます。複数ある場合は、複数の成果をコンバージョン計測したり、1つの成果だけをコンバージョン計測することができます。

CV計測する場合は「グローバル サイトタグ」と「イベントスニペット」のソースコードを自社のWebサイトのソースコードに記述する必要があります。

「グローバルサイトタグ」は可能な限りサイト全ページにソースコードを記述し、「イベント スニペット」は成果として計測したいコンバージョンページ(完了ページ) にソースコードを記述する必要があります。

コンバージョン設定することで、どのキーワードでどれくらいの成果が発生しているかを確認することができます。成果に繋がっているキーワードの配信量を増やしたり、成果に繋がっていないキーワードの配信を止めることができるので、コンバージョンは必ず設定しましょう。

キーワード選定

配信するユーザーを決めるためには「キーワードの設定」と「マッチタイプの設定」があります。

まずは見込み顧客を獲得するためにはどのようなキーワードを設定すればいいか、例として「スニーカー専門のオンラインショップ」事業者を想定して説明します。

例:スニーカー専門のオンラインショップ

<商材ワードの選定>
まずはキーワード設定においてメインとなる「商材ワード」を選定します。商材ワードとは提供するサービスの「物」「事」「人」を指す言葉です。スニーカー専門のオンラインショップの場合は商材ワードは「靴」や「スニーカー」です。

また商材ワードは「上位概念」「下位概念」に分けることができます。

上位概念:靴
下位概念:スニーカー

スニーカーはあらゆる「靴」の種類の中1つになりますので、スニーカーの上位概念は「靴」です。

上位概念は広い意味で使われるため下位概念より検索される数が多いです。一方で商材を指す言葉としては関連度が下がります。例えば「靴」はスニーカー以外も含むため、スニーカー以外の靴を探している場合があります。スニーカーを売りたい場合は「靴」で検索してくれた人より「スニーカー」で検索してくれた人のほうがスニーカーを購入してくれる可能性が高いです。

商材ワードは商材との関連度が高い「スニーカー」をメインで使います。
商材の関連度は低いが検索数が多い「靴」は組み合わせるキーワードによって、商材の関連性を高めることができます。組み合わせるキーワードによって「靴」という商材ワードも使用します。

<掛け合わせワード>
商材ワードが決まったら、次は商材ワードに組み合わせる言葉を選定します。
商材ワードは「物」「事」「人」を指す言葉でしたが、掛け合わせワードは商材ワードに「意味付けをする言葉」になります。

・購入系のワード
購入01 → 「スニーカー 通販」
購入02 → 「スニーカー 店舗」

スニーカーを購入する意向の高いキーワードになります。オンラインでスニーカーを購入できるお店を探しているユーザーは「スニーカー 通販」と検索します。

オフラインでスニーカーを購入できるお店を探しているユーザー「スニーカー 店舗」となります。「店舗」と検索していますが、良いスニーカーが見つかればオンラインでも購入する可能性があるため、配信してみても良いかもしれません。

「靴 通販」「靴 店舗」など商材ワードの「靴」を使ってもいいかもしれません。まだスニーカーを目的としているかはわかりませんが、スニーカーを購入する可能性はあります。

・種類系のワード
種類01 → 「スニーカー メンズ」
種類02 → 「スニーカー 黒」

スニーカーを購入する意向はわかりませんが、どのスニーカーを探しているかより明確になるキーワードです。ユーザーが探しているスニーカーがオンラインショップにあり、気に入ってもらえれば購入する可能性が高まります。

「靴 メンズ「スニーカー 黒」のように商材ワードの靴を使った場合、スニーカーとの関連性があるかは判断が難しいです。「メンズ」「黒」は男性用の靴を連想するため、ユーザーはビジネス用の「革靴」を探している可能性があります。この可能性が高い場合、いくら良いスニーカーを揃えていても、ユーザーの目的が違うため広告の配信は控えたほうが良いかもしれません。

・固有名詞系のワード
固有名詞 → 「スニーカー ナイキ」
固有名詞 → 「スニーカー アディダス」

固有名詞のキーワードの方が種類系のワードと比較して、目的のスニーカーがはっきりしています。既に「ナイキ」や「アディダス」のスニーカーで欲しいものが決まっていてお目当ての商品を探している可能性や、「ナイキ」や「アディダス」のブランドに好意的でまた同じブランドのスニーカーを探している可能性があります。

「固有名詞」は自社の取り扱い商品と一致すれば購入される可能性が高まりますが、一致しない場合や関連性が低い場合は購入される可能性が大きく下がります。商材ワードを「靴」に置き換えても、「ナイキ」「アディダス」がスニーカーを多く取り扱っているので、「靴」と検索しても目的はスニーカーである可能性が高いです。

以上のように掛け合わせワードによって商材ワードの意味が変わっていきます。自社サービスとの関連性の高い掛け合わせワードを選定しましょう。また言葉によって解釈が様々なので、組み合わせたワードはユーザーにとってどんな意図を持っているか、想定することも重要です。

<マッチタイプ>
設定したキーワード以外で、「言葉は違うけど意味が同じ言葉」「言葉は違うけど似たような言葉」「組み合わせは違うけど似たような言葉」など私達が予想できない言葉で検索するユーザーは一定数います。

設定したキーワードで「似てる言葉」や「意味が同じ言葉」にも配信したい場合に有効なのが「マッチタイプ」という機能があり、その中でキーワードの拡張機能があります。


※ Google広告のヘルプページ「キーワードのマッチタイプについて」から引用

・部分一致
指定したキーワードに関連するワードを広範囲で配信します。
広い言葉でもユーザーの目的と提供するサービスが一致する場合は「部分一致」でキーワードを拡張した方がコンバージョン数が増えます。

・フレーズ一致
指定したキーワードを含む全てのワードに配信します。
「〇〇」と「〇〇」の言葉が入っているキーワードはコンバージョンしやすいという傾向があれば「フレーズ一致」にした方がコンバージョンは増えます。

・完全一致
指定したキーワードと同じ意味のワードに配信します。
コンバージョンするキーワードが言葉も組み合わせも限定的な場合は「完全一致」で配信を行い、成果に繋がらないキーワードの配信を抑えることができます。

アカウント設計

キーワードを選定したら次はアカウント設計です。
リスティング広告のアカウントはキャンペーン、広告グループ、キーワードと広告で構成されています。


※ Google広告のヘルプページ「Google 広告の構成について」から引用

キーワード別で広告予算を分けたい場合はキャンペーン別で設計します。

例1
キャンペーンA:1日の予算2万円
広告グループA
キーワード:「スニーカー 通販」「スニーカー 店舗」「靴 通販」
広告:パターンA

キャンペーンB:1日の予算1万円
広告グループB
キーワード:「スニーカー メンズ」「スニーカー 黒」
広告:パターンB

キーワードに応じて広告文を分けたい場合は広告グループ別で設計します。


キャンペーンA:1日の予算3万円
広告グループA
キーワード:「スニーカー 通販」「スニーカー 店舗」「靴 通販」
広告:パターンA

広告グループB
キーワード:「スニーカー メンズ」「スニーカー 黒」
広告:パターンB

特に分ける理由がない場合は1つのキャンペーンと1つの広告グループで管理しましょう。広告グループ単位でコンバージョンデータを蓄積していく事で自動入札がうまく機能するため、1つの広告グループにコンバージョンデータを集約することをおすすめします。

広告文の作成

広告文は基本、タイトル(全角15文字)の2つ、説明文(45文字)の1つもしくは2つで表示されます。レスポンシブ広告というフォーマットがデフォルトで、タイトルは最大15個まで設定が可能です。キーワードに合わせて表示されるタイトルが変わり、効果の高いタイトルや組み合わせで自動的に広告が表示されます。

広告文の作成ポイント①
レスポンシブ広告はタイトルや説明文が順不同で配信されるため、タイトルの組み合わせによって前後の文章に違和感が発生します。そこでタイトル1だけを固定表示したり、タイトル2だけを固定表示する機能があります。どちらかを固定表示することでタイトル1とタイトル2を組み合わせても違和感のない文章にすることができます。

おすすめのタイトル文の組み合わせとしては、

タイトル1は固定表示で何のサービスかわかる文章にします。
タイトル2はランダム表示でサービスの強みやお得な情報など補足する情報を入れます。

広告文の作成ポイント②
また実際に表示されるタイトルの合計文字数は全角27文字です。
赤枠の広告文のようにタイトル文が全角27文字以降からは表示が省略されます。


タイトル1とタイトル2でどの組み合わせでも文字数が27文字以内になるように設定することをおすすめします。タイトルが15文字と12文字の組み合わせか、タイトルが14文字と13文字の組み合わせになります。

広告文の作成ポイント③
タイトル内の単語の組み合わせはなるべく「カタカナ」や「漢字」で組み合わせて接続詞は「ひらがな」を使うと単語がはっきり分かれて、1つ1つの単語が見やすくなります。

広告文の作成ポイント④
タイトルでは15文字と少ない文字数の中で単語と単語を組み合わせてつくるため、それぞれ直感的にわかりやすい単語で説明をします。説明文は45文字と文字数に余裕があります。説明文はサービスの詳しい説明や強み、お得な情報を具体的な文章で説明しましょう。

広告文の作成ポイント⑤
効果のよいキーワードをタイトルや説明文に含めましょう。ユーザーが検索した時、検索結果から自分が検索したキーワードを探す傾向があります。表示される広告文内に検索したキーワードが含まれていると広告がクリックされる可能性は高まります。またキーワードと広告文で同じ言葉を使用することで、キーワードと広告文の関連性が高まり、広告のスコアも上がります。

最後にテクニックだけではなく、広告文の基本は3つあります。

・ユーザーの検索意図に合わせる
・何のサービスか端的に伝える
・ユーザーの目的が達成できることを提示する

となります。

最後に自社の広告を見て、

・自社の広告をパッと見た時どういう印象をもったか?
・他社の広告と比べてどこに違いを感じたか?
・広告を見てもっと詳しく知りたいと思えたか?

顧客目線で自分がどう感じたか、分析してみてください。

「運用編」リスティング広告を運用するには?

リスティング広告の運用は主に下記4つを調整し改善していきます。

・キーワードの入札単価を調整 → 最適化な価格に調整する。
・実際配信された検索語句の確認 → キーワードの傾向を分析する。
・効果が高い検索語句の配信量を増やす → コンバージョンを最大化する。
・効果が低い検索語句の配信を停止する → 無駄なコストをカットする。

それぞれ詳しく説明します。

入札戦略の設定

キーワードと広告文の設定、コンバージョン計測の設定が完了したら配信設定はほとんど完了しています。残りは入札戦略の設定になります。入札戦略は配信後も調整や経過確認が必要な設定になります。

入札戦略には大きく分けて2つあります。

・個別クリック単価:自身でキーワード毎に手動で入札単価を設定する。
・自動入札:AIがキーワード毎に自動で入札単価を設定する。

自動入札はコンバージョンデータの傾向から、コンバージョンの可能性が高いユーザーへの入札を自動で高め、コンバージョンの可能性が低いユーザーへの入札を自動で低く設定します。しかし、コンバージョンデータが少ない場合は機械学習の精度が低く、手動配信より結果が悪くなる可能性があります。

<配信開始直後の模索期について>
配信開始直後はコンバージョンデータが少なく、効果の良いキーワードの傾向がわからない状況です。その場合は「個別クリック単価」をおすすめします。見込みが高そうなキーワードは入札単価を高めに設定して、見込みは低いが配信ボリュームの多いキーワードは入札単価を低めに設定して様子を見ながら、入札単価を変えて配信ボリュームを調整しましょう。

「個別クリック単価」のオプション機能で「拡張クリック単価」があります。設定した入札単価を平均として、コンバージョンの可能性が高いキーワードやユーザーには入札単価を自動で高く設定して、コンバージョンの可能性が低いキーワードやユーザーには入札単価を自動で低く設定します。

<入札単価の調整について>
・コンバージョンがまだ発生していないキーワード
キーワードプランナーで入札単価の相場が確認できるので、相場の最低価格から配信することをおすすめします。そのキーワードの配信予算を決めて予算内でデータを蓄積しましょう。予算を使ったタイミングで改善余地を検討して配信を継続するか、継続しない場合はキーワードの変更やマッチタイプを変更しましょう。

・コンバージョンが発生しているキーワード
キーワード毎に「検索広告のインプレッション シェア」という指標があります。配信しているキーワードで「実際に広告表示した回数」を「広告表示できる最大数」で割った「最大数に対して配信した割合」になります。検索広告のインプレッション シェア100%が最大数に対して最も配信できている状態です。インプレッション シェアを高めコンバージョン数がどれくらい増えるか試してみましょう。

・CPAが高いキーワード
許容のCPAに対して上回っているキーワードを下げたい場合に下記計算で入札単価を調整しましょう。

目標CPA( 1万円) × 実際のCVR( 3%) = 入札単価 (300円)

入札単価を下げると他社との入札を下回り機会損失が増え、コンバージョンが極端に下がる場合があります。この場合は目標CPAを引き上げるか、無理にコンバージョンをせず他のキーワードで予算を使うか判断する必要があります。

<コンバージョンデータが十分に獲得できている場合>
Googleは自動入札の設定について直近30日間で30件以上のコンバージョンが発生していることを推奨しています。ユーザー属性や地域、時間帯、デバイスなどあらゆるデータからコンバージョンしやすいユーザーに配信が調整されます。

特にコンバージョン数の最大化において「目標コンバージョン単価」を設定した入札をおすすめします。コンバージョン数を増やしたいけど、コンバージョン単価が高くなるのは困るという企業が大多数だと思います。コンバージョン数を増やすよう自動入札に任せるが、設定したコンバージョン単価以内で調整してほしいので「目標コンバージョン単価」の入札設定がバランスとして良いかと思います。

また自動入札にするとキーワードだけではなく検索語句毎に入札単価を自動で調整するので、多くの検索語句の中からコンバージョンしやすいユーザーに配信をします。自動入札の場合「部分一致」のキーワードで広範囲に配信する方がCV数が増える可能性があります。合わせて「部分一致」の配信もこのタイミングで試してみてください。

検索語句の確認

設定したキーワードから実際どのような検索ワードで広告表示したか確認するために、「検索語句」というレポートで確認することができます。

検索語句の結果を元に以降のアクションが変わります。実際にコンバージョンしている検索語句はなにか、自社サービスに関係なくてコストが無駄に発生しているワードの確認をします。

キーワード調整

検索語句の傾向から、効果が悪いキーワードの配信を停止、効果がよいキーワードの配信調整に関する設定を行います。無駄なコストが発生しているキーワードのコストを削減して、よりコンバージョンしやすいキーワードの配信量を増やします。マッチタイプをフレーズ一致や完全一致に変更して見込みの高いワードだけに配信することも選択肢としては良いでしょう。

広告予算にも限りがあるため、本来パフォーマンスの高いキーワードが、他のキーワードの配信で予算が分散してしまい十分に配信が確保できていないといったケースもあります。配信するキーワード量や1キーワードあたりの予算を見積もった上でキーワードの調整をしましょう。

除外キーワード

検索語句の傾向から、コンバージョンの可能性が低い単語を選定して配信から除外することができます。除外キーワードでは部分一致(記号なし)の設定がキーワードの配信設定と異なります。除外キーワードの場合、指定した単語を含むキーワードの配信を除外します。

除外キーワードは単語毎に配信を除外するケースが多いので、配信量が多く効果の低いキーワードに共通して含まれる単語を部分一致で除外設定することをおすすめします。部分一致の設定はキーワードのまわりに記号は入れずそのまま入力するだけで設定できます。

配信開始後は検索語句の確認から除外設定は早ければ早いほど無駄なキーワード配信のコストカットへ繋がるのでこまめに設定することを推奨します。

「応用編」リスティング広告の投資対効果を確認

応用編ではリスティング広告を配信してコンバージョンに繋がり、その後どのくらいの利益に繋がっているか確認をします。検索語句毎に確認することでコンバージョンに繋がっても、利益になりやすい検索語句と利益になりにくい検索語句で見分けることができます。

利益ベースで検索語句を評価することにより、利益の高い検索語句の上限CPAを引き上げてよりコンバージョンを増やす動きや、利益の低い検索語句の上限CPAを見直して利益率を改善することができます。

コンバージョンした検索語句と顧客データを紐付ける

まずはコンバージョンした検索語句を確認します。
Google広告はコンバージョンした検索語句が計測不明の場合が多々あります。そのためGoogle Analyticsで検索語句を確認したほうが正確にデータを確認できます。(Google広告のデータをGoogle Analyticsと連携させた状態)
(※上記のデータ取得に関してはCookieという仕組みが関係しますが、記事内での詳細は割愛します。)

上記の様にコンバージョンした検索語句とコンバージョンした日時を確認することができます。自社サイトのコンバージョン履歴から検索語句のコンバージョン日時が一致するユーザーを確認します。検索語句とコンバージョンしたユーザーの顧客データを紐付けします。

・顧客データAさん
Google検索広告経由:検索語句「スニーカー 通販」

と記録します。

その後「スニーカー 通販」で検索して商品を購入したユーザーがいくらの価格帯で商品を購入したのか、合計でいくら売上に繋がったのか後から分析することに活用できます。データが埋もれる前に可能な限り、データを確認しましょう。

コンバージョンした顧客のLTVを確認する

顧客のLTVは初回のコンバージョンから顧客が購入した金額の合計になります。
一般的な数式は以下です。

LTV=購入単価 × 購入頻度 × 契約期間
※ LTVを粗利で算出することをおすすめします。

例えば、

・初回のみ購入で商品単価の金額
・初回から2回目以降を含む商品を購入した合計金額
・継続的な契約で契約開始から契約終了までの合計金額

などサービスによって購買単価、購買頻度、契約期間が違うのでぜひ自社の商品でも、どの数値で売上を伸ばすことができるか確認してみてください。

仮に計算式を数値で当てはめると下記になります。

検索語句A:単価3万円 × 頻度1回 × 1ヶ月 = 3万円
検索語句B:単価2万円 × 頻度2回 × 1ヶ月 = 4万円
検索語句C:単価1万円 × 頻度1回 × 5ヶ月 = 5万円

・単価の高い検索語句の傾向
・購入頻度や契約期間などの継続的に購入される検索語句の傾向

検索語句によって購入単価、購入頻度、契約期間の傾向や、LTVの比較を行い検索語句の貢献度を分析します。

投資対効果の高いキーワードを見つける

検索語句毎のLTV(粗利の合計)からそのキーワードにかかった広告費を引いた利益を算出します。

検索語句A:LTV 3万円 – キーワードの広告費2万円 = 利益1万円 (ROI 150%)
検索語句B:LTV 4万円 – キーワードの広告費2万円 = 利益2万円 (ROI 200%)
検索語句C:LTV 5万円 – キーワードの広告費2万円 = 利益3万円 (ROI 250%)

利益率の高い検索語句のコンバージョンを増やすと最終的な利益額が増えるので、コンバージョン数だけではなく、利益率の高い検索語句も意図的に伸ばしましょう。逆にコンバージョン数は発生しているけど利益率の低い検索語句はCPAを見直して利益率の改善をしましょう。

CPAの設定額を見直す

LTVから逆算して自社の目指す利益率を基準にCAC(顧客獲得単価)を算出します。

・コンバージョン数と購入数が同じ場合
検索語句A:LTV 3万円 → 利益率30% → CAC 9千円 = CPA 9千円

・コンバージョンしてから最終的に購入するユーザーが50%の場合
検索語句A:LTV 3万円 → 利益率30% → CAC 9千円 → 購入率50% → CPA 4,500円

これで最終的にリスティング広告の管理画面でCPAはいくらが適切で、いくらで運用するべきか明確になります。利益率が低いのにコンバージョン数を増やすことを目的にしたり、利益率が高いのにCPAを抑えて配信量減らしてしまう場面があります。

LTVとCACから適切なCPAを設定して実利に合う広告運用を目指しましょう。

おわりに

仕組みや設定方法を覚えること、実際にやるべき事が把握できたかと思います。
リスティング広告が一般的に普及して、運用体制の種類も増えています。

・従来のように広告代理店へ依頼する
・インハウス化して社内で運用をする
・業務委託人材に広告運用を依頼する

広告代理店であれば外部のパートナーとしての関わりになるため、営業担当の提案が少なく、ある一定のラインから発展性がなかったり、担当が頻繁に変わることで長期的な視座で取り組むことが困難な場合もあります。

インハウス化も市場ニーズの高い広告担当の採用自体が難しかったり、社内で運用しても未経験から始めると、周りに説明や説得したりする労力が以外と重くのしかかる場合があります。広告代理店にはその様なコミュニケーションコスト支払っていたとも言えます。周りの理解が得られないと孤立感があり退職してしまい、運用担当が継続しないというジレンマもあります。

フリーランス(業務委託)の活用も最近は増えてきており、広告代理店のような担当者が変わったり、インハウスのように退職したりすることはなく個人事業主は長期的なパートナーを強く求めます。(独立すると固定の収入源はより大事になるため)

また代理店手数料のようなマージン制ではなく固定の業務委託費なので「広告予算の提案」ではなく結果に繋がる提案をします。結果を出さないと契約継続してもらえないからです。また他のクライアントも抱えているので他社でもノウハウを蓄積しており、インハウスのような情報不足になる可能性も低いです。

デジパラでは広告代理店やインハウス運用では実現できなかった広告運用の体制をフリーランス(業務委託)の紹介事業でサポートしております。ぜひ興味ある方はお問い合わせください。

またどの選択肢でも重要なことがあります。

リスティング広告の応用編と同じで、どの方法も広告予算や人件費を計算して投資対効果の高い手段を選ぶ必要があります。またどこまで結果を追求できるか、リスティング広告の運用に対する結果意識の高さも重要な指標です。

「コンバージョン数が増えてるからOK」
「CPAさえ守れていれば問題ない」
「改善策を説得できれば今のところ大丈夫」

など最終目的の直前で納得してしまうこともあります。
リスティング広告を始めたときはオンライン広告を活用し売上を伸ばしたいという目的があったはずで、マーケティングの目的は「いくら使って、いくら増やしたか」です。

リスティング広告も同じで

コンバージョン数を増やしても利益に繋がっていなければ評価できません。
CPAを守っても売上が伸びていなければその活動自体の意味がなくなります。

・自分はリスティング広告でどれくらいの利益に貢献しているのか。
・同じ予算でどれくらいの売上を増やすことができるのか。

ビジネスインパクトや貢献度を常に意識し、データドリブンで思考・改善できるよう施策を試みてください。

             WEB相談はこちら 資料請求
戻る