変化を続けるマスマーケティング

変化を続けるマスマーケティング

マスマーケティングは商品・サービスの認知を促す施策であり、多くの消費者にリーチできる力を持ちます。インターネットが普及しWeb広告を取り入れる企業が増える中、従来型のマーケティング手法と呼ばれることもありますが、マスマーケティングもデータ活用を取り入れた活用方法にシフトしており進化を続けています。この記事ではマスマーケティングの主流となるテレビCMを中心に活用方法について紹介します。

マスマーケティングとは

マスマーケティングは、すべての消費者をターゲットとして市場全体に幅広く行うマーケティング手法です。マスマーケティングは、圧倒的なリーチ力を持つことから企業や商品・サービスの認知を増大させ地域や年齢層問わず宣伝が可能です。大衆に向けてマスメディアを通じて情報発信をし、消費者の購買行動に大きく結びつくことでコストダウンにつながるメリットがあります。マスマーケティングは比較的大きな予算を投下しなければいけない施策のため、ブランド形成に体力を使える大手企業が行うマーケティング手法と捉えられてきましたが、データの活用が進み、効果測定の透明性やターゲットの可視化が可能になったことから、最近ではスタートアップ企業など幅広い企業で活用されています。

マス広告の種類と特徴

マスマーケティングのプロモーションは、4大マスメディアと呼ばれるテレビやラジオのCM、新聞や雑誌の広告が中心となります。この4媒体は、地域が限られる交通広告や看板広告に比べて、幅広い層にリーチすることができ、情報を届けたいターゲット層によってメディアの使い分けができます。
マス広告の種類や特徴を紹介します。

テレビCM

テレビは4大マスメディアの中で最もメジャーであり、進化を続けている媒体です。消費者が日常的に目にするドラマやバラエティ番組の合間に流れるテレビCMは、情報の伝達速度が速く、短時間の間に膨大なリーチ数が獲得できたり、ブランドロイヤリティを高めたりするのに効果的です。
テレビCMには、タイムCMとスポットCMがあります。タイムCMは1本あたり30秒、契約は2クール(6ヶ月間)が基本となります。タイムCMは、企業側がCMを流す番組を指定できるため、番組の視聴者層とCMのターゲット層がマッチしている場合に宣伝効果をより高めることができます。番組の合間にCMが流れるほか、番組内でスポンサー提供のクレジット枠に企業名の表示とアナウンスが流れるため、露出効果でも期待ができます。
スポット広告は1本あたり15秒が基本となります。契約期間は企業側に委ねられるため短期間のCM出稿が可能です。CMを流す時間帯エリアを選べる一方、番組の指定はテレビ局の一任となります。ターゲット層は絞れないものの、視聴率をみて時間帯を自由に選ぶことができます。契約期間や時間帯が選べることから、期間限定のキャンペーン施策との連動や、季節ごとに商品が変わる企業などに有効です。

ラジオCM

ラジオCMは、音声のみの放送で、電波の届くエリアが限られているため、地域性の強いメディアとして活用されます。地域やエリア、番組のジャンルごとにリスナー層がある程度把握できているので、ターゲットに向けてピンポイントに情報が届けられます。テレビに比べるとリーチ数は劣るものの、低コストでプロモーションが可能です。ラジオ番組には固定のファンが存在し、毎日、毎週の頻度で放送されるその番組を聴取するため、同じ番組や同じ時間帯にラジオCMを出稿することで、同じリスナーに繰り返し接触する確率が高まります。昨今では、インターネットラジオが普及したことで、場所や時間を問わずスマートフォンやパソコンからラジオ聴取が可能になり、若者のリスナーが増えています。またインターネットを活用した行動履歴からターゲティング広告の出稿も可能になりました。

新聞広告

新聞広告は、テレビやラジオなどの電波媒体に比べ伝達速度は遅いものの、新聞の社会的影響力は大きく、信頼度の高い媒体です。全国紙、地方紙、専門紙など読者層に合わせたリーチが可能です。インターネットの普及により紙の発行部数は減っていますが、依然として約7割の世帯で新聞を定期購読しており、電子版の購読数は年々増えています。新聞を熟読する購読者に向けて広告掲載をすれば目に留まる可能性が高く、特に中高年層がターゲットの場合に有効です。

雑誌広告

雑誌広告は、特定のジャンルに特化した紙媒体のため、ファッションや趣味など興味のある購読者のターゲティングができます。無料で情報を得られるインターネットとは異なり、雑誌を購入しているユーザーは有料で情報を得たい層であるため、雑誌広告に掲載されている商品に興味を持ちやすいというメリットがあります。そのことからブランドとのタイアップ広告をはじめとした購買動機を起こさせるようなコンテンツが見受けられます。新聞と同様に、電子書籍やアプリを用いたデジタル雑誌が普及しています。

マスマーケティングの主流「テレビCM」

企業のプロモーション活動において、テレビCMは、世の中へ一気にリーチを広げる手段として大きな役割を担っています。テレビの効果についての見解は、企業によって様々です。テレビCMの圧倒的なリーチ量を考えるとむしろコストパフォーマンスは良いという声がある一方で、テレビCMは費用対効果が透明にならないと投資できず、出稿を減らしている企業もあります。たしかにこれまではテレビCMをマーケティング戦略に用いるためには大きな予算が必要となり、それに対する数値的効果が見えづらい点が多い施策でした。しかし、最近ではテレビCMにおいてもデータを用いたターゲティングが可能となり、数値的効果が把握できるWeb広告に似た活用ができるようになりました。

テレビCMの役割

圧倒的なリーチ力を持つテレビCMは、商品・サービスを消費者に向けて「認知」させたい際に有効な施策です。消費者の態度変容は、時代背景や新しいメディアの登場によって変化します。特に昨今は、インターネットの発展とSNSの普及によって消費者の行動や購入までの流れが多様化しているため、態度変容も大きく変わってきています。インターネット時代の消費者の態度変容は、マス広告などのプロモーションをみて商品を「認知」し、「興味・関心」を持ったらまずはスマートフォンで「検索」し、そのままインターネットで「購入」をします。そして、商品購入後は、レビュー欄やSNSで使用感を「共有」します。この共有した内容が再び検索エンジンやSNSにヒットし、新たな見込み客を呼び込むという構造があります。

テレビCMの効果測定

テレビCMは、リーチ力の大きさは認められながらも、数値的効果の透明性が課題とされてきました。しかし、現在ではWebデータの活用が可能になったことで、その効果はWeb広告同様に可視化できるようになりました。このセクションでは、テレビCMの効果測定の方法をご紹介します。

・GRP
スポットCMの効果を測る上で最もオーソドックスなのは、GRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)です。特定の期間に流れたテレビCMの世帯視聴率を合計した数値で表します。たとえば、視聴率15%の番組に10本、視聴率10%の番組に7本テレビCMを流した場合の延べ視聴率は、(15×10)+(10×7)=220GRPとなります。

テレビCMによって、商品・サービスの認知度を向上させるには、視聴者の目に何度もふれさせることが重要です。これは、何度もCMで見たり聞いたりしている商品に親近感が湧き、好感度が高まるという「ザイオンス効果」が発揮されているためです。この効果によって、たとえば店頭でその商品を見かけたときに他の商品よりも良い商品だと思ったり、購入したりする可能性が高くなります。
繰り返し接触すると印象が良くなることがザイオンス効果とされていますが、時には繰り返し接触することが逆効果になることもあります。消費者が企業や商品・サービスに対してなんらかの理由で悪い印象を持つ場合には、テレビCMを目にすることでネガティブな感情を抱かせ、どんどん嫌悪感が大きくなってしまう場合があります。ザイオンス効果が有効であるのは、一般的に10回までと言われています。たとえばターゲットである消費者に対して10回程度接触しているにもかかわらずコンバージョンに至らない場合、これ以上の効果は望めないと判断できます。

また、CMへの接触回数は、「フリークエンシー」と呼ばれます。つまり、フリークエンシーは、テレビ視聴者がどのくらいテレビCMに接触したのかを回数で算出する指標です。フリークエンシーはWeb広告の効果測定でも使用されており、インプレッション数やクリック数を指します。テレビCMのフリークエンシーを算出する際に用いられるのが、先ほど説明したGRPです。
たとえば、視聴率が15%の番組でCMを10本流し、視聴率が20%の番組でCMを5本流したとすると、150GRPと100GRPを合わせて250GRPとなります。全世帯のうち半分が、この15本のCMを視聴したとすると、リーチ(到達率)は50%となります。250GRPでリーチ50%となりますので、割り出される平均フリークエンシーは5回です。
GRPの数値は高ければ高いほどよりたくさんの消費者と接触できると考えられており、テレビCMのもたらす効果も大きいとされています。しかし、この方法ではCM中だけ離席したり、家事をしたりしていてCMを見ていないケースがあってもわからないため、確実とは言えないという説が浮上しました。その弱点を補うために、2015年より顔認識技術でテレビCMがどのくらい視聴されているかを計測できる「GAP(Gross Attention Point)」という新しい手法が、実証実験されています。

・GAP
GRPの不透明要素を補う方法として、開発されたのが広告に対する注目度を計測する「GAP(Gross Attention Point)」です。顔認識技術で得られた行動記録データに解析を加え、視聴者が実際にどのくらいテレビ画面に映るテレビCMを注視したかどうかを計測します。これにより、実際にどれくらいの視聴者がテレビ画面を注視していたかを知ることができるため、CMが流れる際に画面から目を離す人を除いた「実際にCMを見ている視聴者」の割合がわかります。

・アンケート
商品・サービスを購入した消費者に「この商品をどのように知ったか」をアンケート方式でとる方法があります。アンケート結果で「テレビCM」と答える人が多ければ、テレビCMの効果が大きかったと判断できます。継続的にアンケートを実施することで、過去の回答と比較して測定することが可能です。

・指名検索数
指名検索数は、インターネット上で商品名やサービス名、企業名などで検索された数です。テレビCMが流れた期間とその前後を比較して、どれくらい指名検索数が増えているかを測定します。テレビCM以外の広告を同時期に出稿していた場合は、正確に指名検索数を計測できないため、出稿時期が重ならないよう注意が必要です。

・Webサイトのアクセス数
Webサイトのアクセス数も、テレビCMの効果検証の指標になります。指名検索数と同様、テレビCMが流れた期間とその前後を比較し、Webサイトへのアクセス数の増加を測定します。さらに、どれくらい商品購入にまで至ったかを分析することも可能です。

Webデータの活用

企業は、消費者への認知度の最大化を期待して、テレビ広告に大きな予算を投入します。しかしながら、マーケティング手法や消費者の態度変容が多様化している中、広告予算を投入してCM枠を購入するだけでは、効果的なマーケティングは期待できません。
最近では、インターネット普及の波はテレビにもやってきています。テレビの見逃し配信や、新聞・雑誌の電子版など、インターネット上でのコンテンツ提供を拡大しており、消費者の視聴データやコンテンツの閲覧データを取得できる環境が整いはじめています。テレビがインターネットにつながったことで、Web広告と同様にターゲットの可視化が進み、「認知のためのCM」や「購買行動を促すためのCM」など目的に応じてパターン化したCM制作をするなどテレビCMを科学的に活用する企業が増えています。
たとえば、テレビの見逃し配信では、広告に接触したユーザーの特性を分析したり、見逃し配信で広告接触したユーザーに再度、商品・サービスを紹介したりといった取り組みが進んでいます。さらに、スマートテレビと呼ばれるインターネットに結線されたテレビでは、いつ・どこで・どのテレビCMが視聴されたかといった視聴実態が把握できるようになりました。この視聴データをWeb閲覧と連携して、テレビCMとWeb広告の組み合わせによりターゲットの視聴番組分析に基づいたプランニングや、オフライン・オンラインを横断した広告の効果検証が可能になります。また、テレビ以外のマス広告でも、新聞電子版の記事体広告では、特定カテゴリーの記事に関心を持ったユーザーに関連した商品・サービスをレコメンドすることができます。テレビCMは、これまでの予約型広告から運用型広告へという動きも進んでおり、Web広告の運用に近づいています。
Webデータや他のマーケティング施策と組み合わせ、認知から態度変容まで消費者に向けて一貫したコミュニケーションを取ることができれば、今までよりも広告効果を高めることにもつながります。マス広告におけるデータの活用はまだ始まったばかりですが、消費者の日常と大きな接点があるマス広告が緻密なコミュニケーションを実現し、消費者を多面的なデータで可視化することによって、マスマーケティングの価値を向上させることにつながります。

変化するテレビCMの活用方法とは

テレビCMは、企業や商品・サービスを視聴覚的に発信でき、その圧倒的なリーチ力から、企業のブランド認知向上を主な目的として活用されてきました。しかしながら、昨今はテレビCMの活用方法に変化の兆しが見られています。今後、テレビCM はブランドイメージを構築していく認知のフェーズでの活用ではなく、視聴者に購買行動を起こさせるために利用が増えると予想されています。
その理由は、インターネットの普及により生活者の消費行動が変化し、購買をはじめとしたアクションまでの動線が短くなっていることです。たとえば、ネット通販は店舗に足を運ばなくともいつでもその場で購入することが可能です。実際に化粧品業界やアパレル業界などあらゆる業態で消費者とダイレクトに取引をするD2C事業が増加しています。こういった業態は、「来店」という従来のステップは必要ないため、テレビCMは購買アクションの獲得を狙って打たれることが多くなっています。

また、先述でも触れたようにWeb広告では当たり前だった数値分析が、テレビCMにも適用されるようになってきています。最近では、テレビ広告とWeb広告のメリットをあわせ持つ「運用型テレビCM」が誕生しています。運用型テレビCMでは、効果測定を行えるツールを使い、CMが放送された番組やエリアなどをもとに、テレビCMの費用対効果をWeb広告のように検証します。運用型テレビCMは安価で始めることができるため、初めてテレビCMに挑戦する企業やどのくらい効果が出るのかがわかりにくいという理由でテレビCMを躊躇していた企業も始めやすい手法です。
運用型テレビCMが注目されるようになった背景として、従来の「タイムCM」と「スポットCM」に加え、2020年2月に新しく「SAS(Smart Ad Sales)」というテレビCM枠の購入方法が開始されたことが挙げられます。これまでのテレビCMの契約は、いずれもある程度の期間で、何本かまとめて購入する形式が用いられていました。しかし、SASはそのどちらとも異なり、CM枠を1本単位から購入することができます。これによって比較的低コストでCMが打てるようになりました。さらに、CMを流す日時や番組指定をできることから狙いたいターゲットや予算に合わせて調整が可能です。Web施策やデータとの連携もできるため、効果測定をすることができます。運用型テレビCMの誕生によって、マスマーケティングはよりスピーディーに可視化されたマーケティングを実現しています。


マスマーケティングの活用事例

BtoC企業の事例(コカ・コーラ)

同社では、「いつでも、どこでも、だれにでも」のキャッチフレーズからも分かるように全消費者をターゲットとし、ヒットし続けています。様々な業界でターゲットを絞ったマーケティングを展開する中、全消費者をターゲットとするのは珍しいかもしれません。しかし、これは、同社のターゲット顧客が「たまにしかコーラを飲まない層」であることからきています。一般的にマーケティングでは、ターゲティングやセグメントを重要視し、リピートユーザーと呼ばれる顧客を中心にターゲットを考えがちですが、コーラを愛飲するリピートユーザーはそもそも数が少ないうえに、ライトユーザーに変わることも多いということが調査結果からわかりました。そこで、同社ではむしろライトユーザーからコーラを普段飲まないユーザーまでを広くターゲットとすれば、母数の観点から成功の可能性が高まるという仮説のもと大々的にマスマーケティングに取り組んでいます。また、多額の広告費を投資し、多くの人に商品を認知してもらうだけではなく、グローバル企業としてオリンピックの公式飲料に認定されるなど、世界中の人々に広告展開する手段を獲得しています。
全消費者をターゲットとしているコカ・コーラが発売当初から今もなおヒットし続けている理由として、マスマーケティングのほかに商品開発があります。コカ・コーラの種類として、一般的なコカ・コーラに加え、糖分・保存料が入っていない「コカ・コーラ ゼロ」やオレンジフレーバーが加わった「コカ・コーラ オレンジ」が発売されています。これらは、一部の消費者をターゲットとしたターゲットマーケティングであり、マスマーケティングとは対照的なマーケティングです。しかし、実際にこの2種類が発売されたからコカ・コーラを飲み始めるという訳ではなく、コカ・コーラを飲んでいる人がこの2種類を飲用するという、コカ・コーラを愛用している全消費者に種類を提供しているだけと考えられることから、コカ・コーラの商品は全消費者を対象としたマスマーケティングであると言えます。コカ・コーラはたくさんの飲料がある中で、時代とともに炭酸飲料のシンボルとなる位置づけとして存在しています。コカ・コーラが世に広まりヒットした要因は、全消費者に受け入れられる商品の開発とマスマーケティングにあると言えます。

BtoB企業の事例(ラクスル)

ネット印刷事業を展開する同社は、競合最大手との検索数の差が約16倍と認知度の課題がありました。Webマーケティング施策の一般的な流れとしては、検索ボリュームがある「ネット印刷」というカテゴリーワードを獲得して、最終的に「ラクスル」を知ってもらうというパターンも考えられました。しかし、当時の業界最大手企業との開きは先述した通り16倍程あり、キーワード獲得のために掛かる費用も膨れ上がることが想定されたため、Web施策としてカテゴリーワードを狙っていくことを断念しました。そこで、同社では手法を変え、テレビCMによるマスマーケティング施策によって「ラクスル」という純粋想起を獲得していく方針に方向転換をしました。
同社のテレビCMの戦略は、小さく試して大きく展開することです。たとえば、テストマーケティングを首都圏以外のローカルエリアで実施し、その結果を踏まえて全国エリアに展開したり、期中にクリエイティブの変更やCM枠の購入本数の追加をしたりすることで成果を出していく方法です。テストの結果、コストパフォーマンスの視点から成果の出ている枠を分析しました。
同社では、まず富山県と石川県のローカルエリアへCM出稿を行いました。首都圏に比べ、低コストの地方で効果検証をしながら放映エリアを広げていくという戦略で、結果として関東エリアよりもローカルエリアのほうがCPAを安く抑えられることがわかりました。次に重視したのが、視聴者に認知しアクションを促すための「クリエイティブ」です。同社では、大きくわけて「価格訴求」と「顧客満足度訴求」の2パターンのクリエイティブを制作し、ローカルエリアでのA/Bテストを行いました。その結果、「価格訴求」のクリエイティブが、「顧客満足度訴求の」CPAの3/1以下になりました。その後、関東関西での放映を開始するタイミングで、「価格訴求」をベースとし、更にCM効果を向上させるために、認知に効果的な著名タレントを起用するクリエイティブへとブラッシュアップし、放映を行いました。
同社ではテレビCMの放映とともに、顧客流入や会員登録、購入など流入から獲得までのデータをつねに比較しながら効果検証を行い、費用対効果を可視化することにより、Webマーケティング同様のスピードでテレビCMの高速PDCAを可能にしました。テレビCMの結果、累計57億円のマーケティング費用に投資しつつもCPAを半分に改善しています。また、コロナ禍においてもユーザー登録数が継続的に増加する成果を実現しています。
Z世代とよばれるような10〜20代のユーザーは、テレビ離れが広がり、スマートフォンでの視聴時間のほうが長いと言われていますが、その一方で、30代よりも上の世代は、依然としてテレビの視聴時間が長い傾向にあります。BtoB領域のビジネスのターゲットである決裁者層は30代以降が中心となるため、BtoB領域においても有効な施策だと言えるのではないでしょうか。

まとめ

マスマーケティングにおいても横断的なデータを活用することで、Web広告と同様にターゲティングが可能になっており、想定効果の予測や数値的効果測定ができるようになりました。マーケティングの流行に合わせて施策を打つのではなく、商品・サービスのターゲット層に合わせて、多面的にマーケティング手法を組み合わせることが大切です。データ活用が進んでいるのはWeb広告やテレビ広告だけではなく、店頭広告や野外広告なども同様です。今までなんとなくブランド認知にはこの広告施策、ユーザー獲得にはこの広告施策といった棲み分けができていましたが、これからは様々コミュニケーションをトータルでいかに効果的にアクションに結びつけられるかを考え、プランニングしていくことが求められます。

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