BtoBマーケティングの戦略構築とKPI設計

BtoBマーケティングの戦略構築とKPI設計

BtoBマーケティングが重要な理由

1. BtoBマーケティングが重要な理由
昨今ではあらゆるものがデジタル化され、オンラインでコミュニケーションをする時間の割合が大幅に増加しています。さらにオンライン上で情報がオープンになり、いつでも情報にアクセスできるため、相手の企業やサービスの情報を事前に調べることができます。

オンラインのやりとりが中心になったことで顧客のニーズも変化します。企業が提供する商品や発信していくコミュニケーションも時代やニーズに適合する必要があります。BtoBは昭和世代が築いてきた日本独自の企業文化や風習が根強く、あらゆるプロセスにおいてデジタル化が進んでいませんでした。しかし近年ではコロナの影響を受けリモートワークが進み、業務やコミュニケーションにおけるデジタル化が浸透しはじめました。変化に伴い、BtoBマーケティングの必要性が急速に高まりました。ここ数年でBtoBマーケティングへの関心を持つ企業や、BtoBマーケティングの施策に取り組む企業、社内の組織体制やサービス自体を見直す企業が増えております。

・ここまでの要約
✔ あらゆるコミュニケーションがデジタル化している。
✔ 顧客はオンラインで情報収集して商品を検討している。
✔ 世の中の変化に対して顧客ニーズも変化している。
✔ 自社の商品やコミュニケーションでも変化が求められている。
✔ 変化の適合に対してBtoBマーケティングの重要性が高まっている。

▼ これからのBtoBマーケティングとは?
BtoB企業の主なこれまでの集客方法とこれからの集客方法がどのように変化しているのか以下の表でまとめました。

・これまでの集客方法に関して
これまでの集客方法として、展示会やセミナー等のオフラインで対面しその場で提案して商談を決定したり、テレアポや郵送DM等のオフィスへ連絡をして担当者に提案するケースなどが一般的でした。営業担当が企業の担当と接点を持ってからの商談の場が重要で、発注する側もそのタイミングで商品を検討します。営業担当にかかるリソースが多く、提案書や数値のシミュレーションなど営業プロセスの改善や、営業の数を増やして営業担当の育成に注力することで新規契約数の拡大を目指していました。

・オンライン化が普及したことによる変化
コロナの影響から多くの企業がリモートワークを導入したことにより、オフラインでの接点が激減し、会社の電話番号へのテレアポや郵送DMによる接触が難しくなりました。まずは営業担当がオフラインや電話で企業の担当者とコンタクトをとりその後の提案で契約をとる流れが、現在の環境化では淘汰されつつあります。その変化は、発注者側の意識としてもオフラインで目の前の営業担当からの提案で断りにくかった商談も断りやすく、明確な理由がないと商談をセッティングすることができなくなりました。

・これからの集客方法に関して
オフラインで受け取る情報が減り、よりオンラインで情報収集をしたり、商品の検討をする際はサービスサイトや関連するコンテンツから確認し必要であれば、資料請求やお問い合わせをして提案を受けるという流れが増えました。発注側の担当者もある程度前提段階でサービス理解があり、目的があった上で商談に望むため、自社の状況を理解したうえで導入した際の具体的なイメージを知りたいというニーズが増えました。Goodeで具体的な課題感や施策ベースで検索して商品をしったり、Web上でたまたま見つけた広告、SNSやオンラインメディアで流れている記事、担当者が勉強のためにオンラインセミナーやオンライン展示会に参加をするなど、情報収集の主戦場がオンラインなりました。オンラインでは情報が溢れており、競争が激化しているなかで、必要な情報かつコンテンツの質が低いと埋もれてしまいます。

・まとめ
まずは企業の担当者と接点を持ち商談数や提案の質が求められていた流れが大きく変わりつつあります。オンラインでの情報提供を通じてサービスの理解を深め、そこから企業の担当者と接点を持つところまでの過程が長くなり、オンライン上で接触する数や情報(コンテンツ)の質が求められるようになりました。

▼ BtoBマーケティングを行うには?
BtoBマーケティングを取り組む前に、抑えるべきポイントと取り組む担当者がおかれている状況を以下のようにまとめました。

一般的にはサービスサイトを制作後に検索広告やFacebook広告から始めて、外部パートナーと連携しながらサイト内改善や広告クリエイティブ、広告運用の代行を外注することが多いです。しかし、「Web広告でいかに集客できるか?」に集中してしまい、手段が目的化してしまうことがあります。やってみないと分からないこと自体はありますが、やる前から明確に判断できることもあります。闇雲にやった結果、以下のような課題や疑問が発生します。

・発生する課題
✔ 改善すべきボトルネックがわからない。
✔ 上手くいかなかった時の選択肢がない。
✔ 集客コストを使っているからすぐに結果がでないと不安。
✔ 見込み顧客ではない商談数が多い。
✔ 広告代理店に任せっきりでは売上につながらない。

・発生する疑問
✔ 多くの選択肢の中でなぜその施策なのか?
✔ その施策で重要なKPIはなにか?
✔ 想定よりKPIが下回った場合の対策はなにか?
✔ 集客コストをいくらつかって商談数をどれくらい増やすのか?
✔ 受注につながる顧客の定義とそれを増やすにはどうすればいいのか?
✔ 広告代理店が追求するKPIと自社で追求するKPIはなにか?

これらの課題、疑問を都度対応して修正することもできますが、実行する担当者の状況を考えると、ノウハウやリソースがない中、自分で正確に判断するのは難しくなります。コストを使っているため社内の目線が厳しくなり、焦りが生じて短期的な目線に陥りがちです。

BtoBマーケティングを行う前段階、もしくは、既に取り組んでいる場合、改めて目的を整理する意図で、以下のような判断軸を設計しましょう。

第2章〜5章で「マーケティングの判断軸」に対応する形でまとめているので、最後までご一読ください。

ターゲットを選定する

Webマーケティングの目的としては、新規の顧客を獲得したり、ハウスリストから顧客化を狙うなどの「契約数を増やすため」です。契約数を増やすためには、契約につながる顧客との商談数を増やすことが重要です。さらにブレイクダウンすると、契約につながる商談とは、自社サービスが企業の課題を解決できる顧客、サービス提供をすることで価値を発揮できる顧客との商談です。

自社サービスがこれまで顧客の課題を解決できた企業、自社サービスに価値を感じてくれた企業の傾向を把握できれば、同じようにパフォーマンスを発揮できる企業がわかるはずです。同様に、契約につながらない企業の傾向もあり、課題解決、価値の提供を実感していただけない企業もいます。これは要約すると成功パターン、失敗パターンの分析と明確化になります。その両パターンを知ることでまだ未開拓層の発見につながり、なぜ未開拓であったか、また違ったアプローチ方法を考えるきっかけにもなります。

まとめると、ターゲット選定で重要なのは以下の表のようにこれまでの傾向を3つの分析で分類して定義することです。

KPIが商談数の場合は、以下のように問いかけましょう。
・どのような企業の商談を増やしたいのか?
・どのような企業の商談を減らしたいか?
・まだ未開拓の層でアプローチするべき企業はなにか?

▼ 既存顧客の分析
既存顧客の分析で傾向値を把握するには、企業の業界や規模感などでわける「属性別」の分類と「ニーズ別」の分類があります。

属性別の分類項目
・業界、事業
・売上、資本金
・設立年数
・従業員数
・部署、役職
・予算感

ニーズ別の分類に関して
ニーズ別の分類に関しては、サービス毎で違うため自社の中で顧客ニーズを大まかなに分類する必要があります。お問い合わせから商談時にどのような課題感で相談があったのか、なにを解決したいのかヒアリングしましょう。顧客の具体的な状況や目的は細かく分類すると様々ですが、「顧客は要するに何をしたいのか?」という問いに簡潔にまとめるのであれば、そこまで多くはならないかと思います。細かすぎると定義や管理が複雑化するので、まずはニーズの分類を大枠で3つから5つくらいがちょうどいいでしょう。

【例】BtoBマーケティングのコンサルティング会社の場合
プロフィール
BtoBマーケティングの戦略設計からマーケティング組織の内製化支援を行っています。
施策部分はパートナー企業と連携することで支援可能だが、メインは戦略領域の支援。
サービス提供価格は平均60万円で契約期間は平均6ヶ月です。
既存顧客の分析を行った結果、以下の顧客属性とニーズが多いようです。

以上の表から分析したところ、「業界」「事業フェーズ」によって企業が抱える「課題感」とそれに対する「ニーズ」が異なり、BtoBマーケティングのコンサルサービスに捻出できる予算額が違います。

・Aタイプ
SaaS企業は事業をスケールするフェーズでさらに売上拡大できるための戦略設計でニーズがあるようです。これまでは実行メンバーを中心にWeb広告やオウンドメディアなど一般的な施策をやりきっており、2倍以上の成長を目指すのが難しくなる傾向があります。ニーズが健在化している顧客をメインに集客をしていましたが、検討層、潜在層の顧客開拓が必要で、ターゲット選定、コミュニケーション設計など戦略の見直しが必要なようです。

・Bタイプ
人材系の企業開拓手法はテレアポでの営業施策が中心でしたが、コロナの影響で獲得率が減少しており、オンラインコミュニケーションを中心とした設計に切り替えなければいけない傾向が多いようです。オンライン集客の施策設計やこれまで取りこぼしていた層の洗い出しを行い減少分を回収する獲得率の向上がニーズとしては高いようです。

・Cタイプ
会社としては社歴が長く実績が豊富な企業が多いですが、口コミや地道な営業活動だけでは売上の拡大が見込めない傾向があります。近年DX化というニーズは高まっていますが、コンサルティングという無形サービスが上手く社外に伝わっておらず、未認知の顧客獲得に苦戦しているようです。まずはオンライン集客の専門チームの結成と、社内で認められるよう、すぐに数値として実績をあげる施策への取り組みが重要視されます。

以上のように、分類して深堀りすると企業が抱えている課題やその背景はそれぞれ違っており、しかし共通している部分もあります。この傾向から同じような企業属性でターゲット選定を行い、企業が抱えているであろう課題やニーズにアプローチすることができます。既存顧客の分析は顧客解像度が高くなり、よりその後のアクションが明確になります。

▼ 失注した商談の分析
失注した商談の分析は、商談時やその後の提案で必ず言われる「断り文句」を分類して、そもそも提案しても契約につながらない企業の傾向を把握します。より見込み顧客へのサポートにリソースをさけるよう、売上につながらない商談の獲得を未然に防ぎ、無駄なリソースを削減します。

断り文句は企業によって違いますが、言っていることの意味は同じ場合が多いので、わかりやすく分類してまとめましょう。

【例】BtoBマーケティングのコンサルティング会社の場合
プロフィール
BtoBマーケティングの戦略設計からマーケティング組織の内製化支援を行っています。
施策部分はパートナー企業と連携することで支援可能だが、メインは戦略領域の支援。
サービス提供価格は平均60万円で契約期間は平均6ヶ月です。

分類した結果、5つの失注理由が多く、その背景として相手の状況が浮き彫りになりました。商談を決める前に、契約につながらない業界、部署や役職、商談へのモチベーションや事前に把握しているニーズで判断できるため、商談前にニーズチェックを念入りに行うか、サービスを提供してもコミットできない可能性があることを真摯に伝え、商談のセッティングはしないほうがいいです。

▼ 未開拓層のアプローチ
既存顧客の分析、失注した商談の分析を行うと、それ以外のまだアプローチしきれていない層、もしくはこれまで契約につながった実績はあるが数として少ない層がわかります。ニーズがありそうだけどこれまでの施策ではリーチできていない場合や、サービスのパッケージや見せ方を未開拓層に合わせておらず、ニーズの掘り起こしができていない場合があります。以下の順番で手堅く契約数を増やし、無駄なリソースを削減して、頭打ちになる前に未開拓層の定義とアプローチの設計を行うと結果につながります。

(1) 既存顧客に近い層へのアプローチを強化
(2) 失注する可能性の高い商談の削減
(3) これまで開拓できていない層へのアプローチを強化

サービスの提供価値を定義する

まず、はじめに自社のサービスについて以下の問いに対して明確に答えられますか?また、他のスタッフも同じような回答はできますか?

チームでこの問いに明確に答える必要があります。これらの問いに明確に答えられないのであれば、顧客にはよりそのサービスを理解することができないからです。なんとなく理解はできるけど、明確に良さがわからない、利用する目的やメリットがよくわからないという状況であれば、発注の意思決定ができないので、サービスの利用を検討してもらえません。

サービスの価値を明確にすることは重要で「広告」「サービス資料」「テレアポ」「メールのやりとり」「商談」「契約後のサービス提供」など全体のコミュニケーションに影響するからです。集客から商談、サービス提供において各ステップで認識のズレが起きると顧客からの信頼を得ることができず、失注につながります。契約がとれたとしても長期的な関係構築ができず、広告費やかけたリソース分の回収ができず、利益があまり増えないといった結果になります。

ただし、顧客ごとに課題は違うため、それぞれの課題にあったアプローチや表現が必要です。価値はブラさずに相手に求めるものや相手の解釈しやすいように言い方を変えるイメージです。サービスのコアである価値が不明確になったり、価値がブレてしまうと商談が増えても最終的なサービスを提供することで自社の価値を発揮することはできません。サービスの価値を明確にしないとこういったことも起きてしまいます。特に広告などのクリエイティブを量産する場面で、「相手に聞こえの良いことをコピーにしてしまう」といったことが起きて、リードや商談は増えても、ニーズが合わないとことが増え、広告費とリソースをさいても結果的に利益が増えなくて困るといったことが起きます。

オンラインで情報が溢れている世界線で「わかりにくい」「情報が多すぎる」はマイナス評価です。「顧客が求めていることに答える」という姿勢と「それをわかりやすく端的に伝える」という力はオンラインが主戦場になったBtoBマーケティングにおいて極めて重要です。顧客が広告やコンテンツを読む時間、自社に与えられている時間には限りがあります。ほんの数秒で相手の興味を引き、相手が求めている情報に絞って説明する必要があります。説明したいことをすべて盛り込むという手段は悪手です。顧客がすべてを理解してくれる、最後まで読んでくれるという前提のコミュニケーションだからです。説明が長ければ興味は下がり、結論よくわからないという判断になります。

▼ サービスの提供価値を定義する
サービスの提供価値を定義することはシンプルなものです。顧客の問い、表面的な課題、根本的な課題に対して、自社サービスはどのように応えることができるのか、言語化するだけです。例題として以下表にまとめました。

マーケティング人材育成サービス
マーケ大学の学習アプリ「マーケラーニング(仮名)」

・意識する単語とは?
顧客が課題解決できる方法を調べたり、目的のサービスを探したりする際に、普段どういった単語を使っているのか、どういった単語に反応するのか?定義したものをこの記事では顧客が「意識する言葉」とします。意識する言葉を定義するには、Google検索でどのようなキーワードで検索されているか、他社はどのような単語を使っているか傾向値を調べたり、商談中にでてくる単語を営業スタッフに確認して顧客が普段使っている単語を確認します。顧客の探している単語をそのまま、商品を説明するコピーとして活用します。

コピーは「領域」× 「サービスの内容」×「サービス名」の構成が必要最低限の情報でまとめられます。例題のサービスでは以下のようなコピーになっています。

サービスサイトの場合
マーケティング人材育成「マーケ大学」
マーケティング学習アプリ「マーケラーニング」

リスティング広告の場合
【公式】マーケ大学 – マーケラーニング/マーケ学習アプリ

ディスプレイ広告の場合
1日15分でマーケターを育てる

一目でなんのサービスなのかは伝わります。あらゆる広告、コミュニケーションでも一言で説明しなければいけない場面は多く、こういった共通のコピーがあることでサービスを覚えてもらいやすかったり、必要な時に思い出してもらうことができます。逆によくわからないものは無視されるので、こういったところでも明暗はわかれます。

・ニーズと表面的な課題とは?
「ニーズ」と「表面的な課題」は意味として同じことを言っている場合が多いですが、あえてわけます。人は状況やタイミングによって「〇〇をしたい」という行動が明確な場合と「現状の課題は〇〇である」といったように状況はなんとなく理解しているが、なにをすればいいかまで考えが至っていない場合があります。顧客からの相談は「ニーズ」と「表面的な課題」で意味は同じですが、それぞれ内容や言い方に違いがあるので、どちらの問いに対してもアプローチができるように言葉を定義しましょう。

・根本的な課題とは?
商談の場では比較的、表面的な課題感で相談されることが多い傾向です。深く話しを聞くと「表面的な課題の先にある根本的な課題」が浮き彫りになります。

表面的な課題
カリキュラムがない。
教育する人材がいない。
スキルレベルが把握できない。

根本的な課題
OJTでは各メンバーの理解度がバラバラ。
外部研修だけでは実践につながらない。
視座が合わなくて意思疎通が難しい。

例題のように顧客は表面的な課題を解決したいのではなく、根本的な課題を解決したいはずです。表面的な課題はあくまで解決策の1つであり、その解決策を実行することで「根本的な課題」を解決できるというロジックです。逆に言うと、根本的な課題を解決できないのは、表面的な課題によるものということです。課題解決のアプローチとして失敗するケースは表面的な課題を解決したが、根本的な課題の解決につながっておらず、混乱することです。本来解決したい課題はなにか、どういった状況が本来目指すべき形なのか整理することが、顧客の信頼を得るために最も重要な事項です。

顧客との接点をつくる

BtoBマーケティングの施策において重要なポイントを2つに分けると「顧客との接点」と「コンテンツ」です。「顧客との接点」の一覧とそれに対応する「コンテンツ」の例を以下の表にまとめました。

顧客とどこで接点をつくるのか、顧客の課題解決、解決策の提示をコンテンツでどのように理解してもらうかといった判断が重要です。顧客との接点が多ければ多いほど、あらゆるコミュニケーション方法で情報提供ができます。コンテンツは顧客が求めている情報提供、わかりやすくまとまった内容などコンテンツの質がよければ、顧客からのサービス理解が深まり、課題が具体化されるので顧客から具体的な相談がきます。

顧客との接点で考えるポイント
・どのターゲットにアプローチするべきか?
・予算内でできる方法はなにか?
・社内の人材リソースで確実にできる方法はなにか?

コンテンツ制作で重要なポイント
・顧客への情報価値として何が適切なのか?
・情報の提供方法としてどういった形が伝わりやすいのか?
・コンテンツを提供することで得られるものはなにか?

▼ 検索広告
検索広告は任意のキーワードで検索したユーザーに広告を配信することができます。自社サービスに関連するようなキーワードや課題解決に向けたキーワードで広告を配信することで、検討意向が高いユーザーのお問い合わせ、資料請求を増やすことができます。しかし、検索広告は他の広告と比べて獲得単価が高い傾向にあります。理由としては競合となる企業も同じようなキーワードで配信している場合が多い点、検索結果の広告枠が上部に4つ、下部に4つの計8枠と数が決まっている点です。広告枠の供給量に対して、広告を配信する企業の需要が上回り、広告枠の取り合いになるため、広告を配信する入札単価が値上がりします。検討意向の高いユーザーを獲得したコストと、契約につながった時に得られる粗利で投資対効果を判断することで、検索広告の適切な獲得単価を設定しましょう。

・目的:商談、資料請求の増加
・顧客意向:サービスを検討、解決策を探している
・予算:広告費 30万円~100万円、サイト制作費30万円~50万円
・リソース:広告運用ができる人、サイトの獲得率を改善できる人
・KPI:商談数、商談単価、受注数、受注単価、LTV

▼ 自然検索
Goodeの検索結果に自社サイトのページを表示することで、検索ユーザーをサイトへ流入させることができます。何かしらのサービスを検討しているユーザーやなにか解決策を探しているユーザーへのアプローチが可能です。ページ毎に検索結果に表示されるため、表示したいキーワードに合わせて各ページの構成や内容を設計する必要があります。また各ページだけではなく、サイト単位でも評価されるため、サイト内の量と質、ユーザーがサイトに訪れる量、外部サイトからの評価も検索順位に影響されます。また記事ライティングを外部に発注する企業も多いですが、その領域理解や顧客理解がないので専門性が低く、顧客のニーズを満たすことができないので、流入数が増えても最終目的であるお問い合わせ、資料請求は増えない可能性があります。サイトの構成や表示したいキーワードの設計、記事の構成、記事のライティング、記事の品質チェックなどリソースとオペレーションコストがかかる点、検索結果に表示されるまでの期間が数ヶ月かかるため、継続するのが難しい事情があります。しかし、記事は積み重ねで増えていき、新規ユーザーの流入数を継続的に獲得できるので、長期的にみると資産性のある施策です。広告費がかからずにお問い合わせが増えれば、事業の投資対効果は高くなります。将来的に広告費や人件費のコストで圧迫する危険性を下げることができます。

・目的:商談、資料請求の増加
・顧客意向:サービスを検討、解決策を探している
・予算:サイト制作費 15万円~30万円
・リソース:SEO対策に詳しい人、記事構成と品質チェックができる人、記事を書く人
・KPI:記事の制作数、サイトへの流入数、商談数、資料ダウンロード数

▼ リターゲティング広告
自社サイトに訪れたことのある見込み顧客に継続的なアプローチができます。BtoBは検討期間が長く、予算があり必要に迫られる状況にならないとサービスの検討フェーズになりません。サービスが認知されて必要なタイミングで思い出してお問い合わせや資料請求をしてもらうためにも、継続的に広告を表示してアプローチすることは効果的な施策です。広告の配信量はサイトに訪れたユーザーの数で決まるため一定数のサイト訪問者が必要です。マス向けの広告で短期的に多くのユーザーにリーチしたタイミングや、自然検索で毎月一定数のユーザーがサイトに訪れている状況で効果的な施策です。リターゲティング広告は多くの広告媒体で配信できるメニューです。仕事上で利用するシーンとしてパソコンで記事やニュースを確認しているタイミングで広告を表示できるディスプレイ広告や、ビジネス系のプラットフォームのFacebook等の媒体がビジネスマンにリーチしやすい広告になります。

・目的:サービスの再認知、商談、資料請求の増加
・顧客意向:自社サービスを知っているが検討フェーズではない
・予算:広告費 15万円~50万円、クリエイティブ制作 5万円~
・リソース:広告運用ができる人、クリエイティブの企画ができる人
・KPI:商談数、商談単価、受注数、受注単価、LTV

▼ Facebook広告
Facebookはビジネスで利用するシーンが多いプラットフォームで、BtoB系のサービスでコンバージョンを獲得しやすい広告です。広告はタイムライン上に表示されて広告枠も大きいので認知目的に効果的な広告です。ビジネス関連の交流や情報発信が行われており、その中で忙しいビジネスマンから広告で得られる可処分時間は数秒から数十秒です。そのためサイトページを読んでもらい、お問い合わせを増やすことが難しく、ノウハウ系のホワイトペーパーやサービス資料のダウンロード、ウェビナーやイベントの申し込み等の無料で情報が得られて申し込みハードルの低いコンテンツが有効です。そこで得られるリード(顧客情報)から商談化するまでのアプローチが必要になります。リード数は上限なく増やすことができますが、比例して商談数を増やすことは難しく、商談化までの引き上げリソースがかかります。最終的な商談数、契約数で効果的な施策か見極めることが重要です。

・目的:サービスの再認知、リード獲得
・顧客意向:情報収集している
・予算:広告費 15万円~300万円、クリエイティブ制作 5万円~
・リソース:広告運用ができる人、クリエイティブの企画ができる人、商談化まで引き上げることができる人
・KPI:リード数、商談数、商談単価、受注数、受注単価、LTV

▼ メールマーケティング
自社のハウスリストに対してメールで継続的にアプローチする施策です。これまで獲得したリードで商談していないリードや失注したリードに対して、顧客がビジネスで参考になるような記事、ノウハウ系のホワイトペーパー、ウェビナーや勉強会などのコンテンツを送ることで、興味関心の意向を高めたり信頼構築することで、そのサービスが必要になったタイミングで相談、商談化へとつなげます。顧客がメールのリンクをクリックして、記事を読んだり、サービスサイトを確認したり、なにかしらの資料をダウンロードしたりとアクションを促すことで顧客の関心度を判断し、必要なタイミングで電話することで、抱えている課題感を顕在化することもできます。

・目的:リードからの商談化
・顧客意向:無関心、必要であれば確認する
・予算:メール配信ツール 1万円~15万円
・リソース:メール配信の設定と効果を分析する人、コンテンツの企画
・KPI:メール開封数、リンククリック率、コンバージョン数、商談数

▼ PR TIMES
プレスリリースを配信してPR TIMESのサイトやSNSアカウント、オンラインメディアから最新のニュースをキャッチアップしているビジネスパーソンへリーチすることができます。ニュースリリースを出すには新規性、特質性、発表、トレンドなど何かしらニュース性があるものでなければ意味がありません。企業やサービスのブランディングや認知を目的とした施策で間接的にお問い合わせへ繋がることもあります。ニュースリリースの企画が重要で、社会的な価値や影響度があるものを発信できるかという観点から検討しましょう。

・目的:サービスのブランディング、認知の獲得
・顧客意向:無関心層だが情報感度は高い
・予算:従量課金 1件3万円、月額課金 7万円
・リソース:PR TIMESの配信設定ができる人、ニュースリリースを企画する人
・KPI:ニュースリリースページのアクセス数、自社サービス名の検索数

▼ SNS運用
近年、BtoBマーケティングの手法としてSNSアカウントからの集客が増えています。ビジネスにおいて企業アカウントから経営層や従業員による個人アカウントへと変化しており、SNSにおけるビジネスパーソンとしてのタレント化、キャラクター化が進んでいます。経営者のような権威性がある人からのなかなか聞けない発信や、現場スタッフの実務レベルのノウハウ情報の発信など個人からでしか聞けない内容をSNSで勉強できるニーズがあります。そういったニーズに応え、フォロワーを増やしたり、個人としての信頼を醸成することで、その後のホワイトペーパーのダウンロードやウェビナーの参加につながります。特に属人的なノウハウやリソースを売る支援系のサービスは効果的です。ツール系のサービスであればコンテンツを発信することでサービス認知の獲得につながります。

・目的:リード獲得、サービスの認知
・顧客意向:無関心層だが情報感度は高い
・予算:特になし
・リソース:SNSが得意でタレント性のある人
・KPI:投稿数、投稿リーチ数、リード数、商談数

▼ マッチングサービス
BtoB商材で企業と企業をマッチングするサービスがいくつかあります。サービスを検討しているユーザーがあつまるメディアサイトで広告費を支払いサービス紹介として掲載したり、サービス資料を一括でダウンロードできるメディアで資料ダウンロード1件につき成果報酬を支払いリード獲得をするサービスがあります。また紹介会社のような仲介人が個別にヒアリングをしてマッチングを行い商談の場をセッティングするものや、人脈のある顧問と契約してつながりのある企業を紹介してもらうサービスがあります。あとは展示会のようなあらゆる企業が出展して情報収集にきた顧客へ営業ができるサービスもあります。近年はオンライン展示会も増え、1イベントで数千リードの提供を保証されているものもあります。

・目的:リード獲得、サービスの認知
・顧客意向:情報収集
・予算:50万円~500万円
・リソース:掲載や出展のディレクションができる人、プレゼンが得意な人
・KPI:リード数、商談数、商談単価、受注数、受注単価、LTV

KPIを設計する

BtoBマーケティングに取り組み、どの施策を行うにせよ最終的にその結果の是非が問われます。担当者は状況によってリード数や商談数を目的にすることが多いかと思いますが、その施策が良かったか、悪かったか、どのくらい改善が必要かは、すべて投資利益率で判断できます。シンプルに言うと「いくら使って利益をいくら増やしたのか」です。これはマーケティング指標のLTVとCACの関係で成り立っています。以下の表をご確認ください。

これらを評価するにはどの経路で商談を獲得することができたのか、その商談から契約に繋がり、利益をいくら得ることができたのか日々管理している状態が必要です。数値の管理はメンバーの協力やコミュニケーションを重ね確認する必要がありますが、あらゆる意思決定が明確になります。商談単価が高い施策が実は多くのLTVをもたらしている、商談単価が低いものは数は多いもののLTVが低く、リソースがかかる施策であったということも少なくはないです。LTV、CACの評価体制はマーケター、営業担当、事業責任者、経営層とのあらゆるコミュニケーションにおいて共通理解をえる重要なものです。ぜひ、BtoBマーケティングを始めるまえにシミュレーションを行い、実際にはじめている方はデータをかき集め、施策毎に計算をしてみてください。

続いては日々の施策に関して「CAC」から逆算して「商談単価」や「リード単価」をいくらに設定するべきか判断する必要があります。上記のようにシミュレーションを作成しました。商談数、リード数の転換率を想定したり、実際の施策で計算すると、いくら広告費を使って、どのくらいの商談数、リード数を獲得しなければ広告費を回収できないのか、利益がいくら残るのか把握することができます。このようにKPIを管理することで社内の検討もスムーズになり、改善すべきKPIと施策毎のボトルネックが特定しやすく、行動するまでのスピードが速くなります。

おわりに

BtoBマーケティングを始める前に、考えるべきこと、分析することがいかに大事かということを説明させていただきました。営業担当が個人で戦う時代は終わり、マーケティングを活用してチームで戦い、その時代の状況に合わせて顧客とのコミュニケーションを設計し、より価値のあるサービス提供を社会全体で目指しましょう。

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