インターネットが広く普及し、さまざまな業界でデジタルマーケティングが欠かせない時代となりました。
その理由は、これまで主流となっていたテレビCMや新聞・雑誌広告などのマスマーケティングとは異なり、デジタルマーケティングを活用することで一人ひとりの顧客の嗜好に合わせたアプローチが可能となったからです。
そこで重要となるのがCRMという概念です。CRMとは(Customer Relationship Management/カスタマー リレーション シップ マネジメント)日本語で「顧客関係管理」や「顧客関係性マネジメント」と訳されています。
このCRMによって、顧客とのより良い関係性を構築し新規顧客や優良顧客を獲得するだけでなく、LTV(Life Time Value/ライフ タイム バリュー)といわれる「顧客生涯価値=1人の顧客が特定の企業に対し生涯にもたらす利益」を最大化できます。
そこで今回は、CRMのマーケティング施策やツール導入時のポイント、おすすめツールについて徹底解説します。
企業の経営者はもちろん、営業担当者やマーケターの方も、ぜひ参考にしてください。
CRMの基本的な意味は「顧客との関係性を正しく管理すること」にあります。そのため、どのシーンにおいても顧客との関係性を適正化し、ビジネスを成功に導くことがCRMの目的です。
CRMの概念は、既存の顧客や見込み顧客の情報を適切に管理して正しく活用し、企業と顧客の良好な関係性を構築することにあります。そしてLTVを高めながら継続的に高収益を生み出す企業を作るのが、CRMを使った経営手法の目的です。
CRMは、上記のような概念以外に「CRMシステム」や「CRMツール」を指すケースもあります。CRMのシステムやツールは、顧客情報をデジタルで管理し、データを視覚化することでビジネスに活用します。
CRMが誕生したのは、1990年代の米国です。この頃から、大量生産・大量消費が一般的であった売り手市場のビジネススタイルは、徐々に顧客中心の買い手市場へと移り変わっていきました。そして2000年以降、インターネットインフラとスマートフォンが爆発的に普及したことで、顧客がいつでもどこでも自分の欲しい情報を入手できるようになり、顧客のニーズに合わせたマーケティング手法が定着していきました。
このように、それぞれの顧客に合わせたマーケティングが主流となった現在では、CRMを経営に取り入れ、適切に顧客を管理することが企業にとって必要不可欠となっています。
ここでは、BtoBとBtoCそれぞれの顧客領域について解説します。顧客領域とは、顧客の対象となる属性のことです。BtoBとBtoCでは、顧客の属性や性質が異なるため、それぞれのアプローチ方法が大きく異なります。
BtoBとは、企業が他の企業に対して商品を売る企業間取引のビジネスモデルです。企業が取引先となるビジネスでは、契約後も継続した取引となるケースが多く、安定した売上と収益を見込めるのが特徴です。
ただし企業間取引では、購買担当者へ営業をかけても検討から契約に至るまでに時間がかかるケースがほとんどです。それは、契約に至るまでに社内の稟議が必要となるからです。
またBtoBのビジネスでは、商談や提案を複数回行うのが一般的です。そして購買担当者は複数の企業から相見積もりをとり、商品を比較・検討するため、営業担当者は複数の商談を通して顧客の情報を蓄積・分析し、それぞれの顧客に合わせたオーダーメイド型の提案を行います。
BtoCのビジネスモデルでは、個人の消費者が顧客となるため、商品の購入プロセスが大きく異なります。具体的には、購入者が決済者で即決できるケースが多いため、購入に至るまでの期間が短いのが特徴です。
そのためBtoC領域でCRMを活用する場合は、消費者の行動を詳細に分析し、複数の販売チャネルを的確に使い分けなければなりません。
以下では、BtoC企業におけるCRMの必要性について解説します。
多くの企業で導入が進んでいるCRMマーケティングですが、ここではCRMがなぜ必要なのかについて、現代のビジネスシーンの背景から考察します。
現代のマーケティングにおいては、昭和から平成にかけての大量生産・大量消費の概念がなくなり、市場(マーケット)と顧客の細分化・多様化が進んでいます。
このような変化の中で、既存顧客のロイヤル化が重要視されるようになりました。既存顧客のロイヤル化とは「既存顧客が自社や自社の商品/サービスに愛着を持ち、継続的に購入・利用してくれる顧客になること」を指し、ロイヤル化した顧客を「ロイヤルカスタマー」と呼びます。
ロイヤルカスタマーは、自社の商品を頻繁に購入したり、大量に消費してくれる「優良顧客」とは異なります。優良顧客には、自社の商品やサービスが「安い」「便利」「選ぶのが面倒だから」といった理由で購入・利用する顧客が含まれます。しかし、ロイヤルカスタマーは「信頼」や「愛着」が理由で商品やサービスを購入してくれる顧客のため、競合する商品と比較して購入をやめる可能性が低いのが特徴です。
例えば、「車を購入するならいつも〇〇自動車」「新聞はずっと△△新聞」「買い物はいつも◇◇百貨店」などのように、価格ではなく、その企業の商品やサービスを信頼して購入を続ける顧客がロイヤルカスタマーです。
市場規模の縮小が懸念される現代のマーケットにおいては、ブランドスイッチによる新規顧客を獲得する集客コスト(CAC)が高騰しているため、既存顧客のロイヤル化がより重要な課題となっています。
CRMでは、顧客から収集した購入データをもとに営業活動を行い、次の購入促進に繋げていきます。例えば、自動車を購入してくれた顧客に対し、定期点検や車検、乗り替えの下取り案内などを送る行為です。
現代の多様化した顧客のニーズに対応するためには、現場の店舗だけのような一部門だけでの活動でなく、サポートセンターや顧客管理部門などの組織全体で収集した顧客情報を管理、運用してアプローチする必要があります。
そこで活躍するのが、CRMツールです。BtoC領域でCRMツールを活用することで、最適な販売チャネルを構築できます。現代では、顧客の、商品やサービスを購入するチャネルが複数あることが多く、そのチャネルに辿り着くまでの流入経路も多様化しています。
店舗での購入のほかにも、インターネット上のECサイトでの購入も増えています。インターネット上の販売チャネルの場合は、企業からのダイレクトメールやインターネット上のリスティング広告、SNSからの流入などさまざまな流入経路があるため、それぞれの顧客の行動を管理するのが難しいのが現実です。
そこで、収集した顧客データをCRMツールで分析し、検証することで、それぞれの顧客ごとに適切な販売チャネルを構築できます。
CRMを適切に行うことで、顧客全体の情報を可視化し、さまざまな顧客データを一元管理できます。企業は、この顧客データをもとにPDCAサイクルを回すことで、より良い品質の商品やサービスの提供が可能となります。
また、多様化する販売チャネルの分析により、自社がペルソナ設定して絞り込んだターゲットが、どの販売チャネルを中心に購入活動しているかを読み取ることも可能です。
顧客ニーズや情報を細かく分析することで、自社の商品やサービスの品質向上に役立てるだけでなく、ターゲットへの販売チャネルを最適化して新規顧客の獲得を効率化できます。
このように、企業全体のパフォーマンスの向上や業績の改善を効率的に行うために、CRMの導入が推奨されています。
ここでは、CRMマーケティング施策の流れと、施策を行う際に重要なポイントについて解説します。
CRMの活用だけでなく、どのようなマーケティング戦略の策定に対しても「目標の設定」が重要となります。
CRMを活用したマーケティング施策においても、実行する期間を決めてゴールを設定しましょう。そこで重要なポイントとなるのが、目標を決めた段階でKPIを設定することです。
KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語で「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」と訳される、さまざまな目標の達成度を測るための指標です。
例えば、KGIをLTVに設定している企業の場合は「顧客に自社の商品を長く使い続けてもらうこと」が最も重要です。
LTVをKGIとしたKPIを設定する場合には、全ての指標が「顧客に価値が提供できており、満足しているか」といった数値を表すものとなります。
しかし、最適なKPIの設定についてはそれぞれの企業や業種・業態ごとに異なります。さらに詳細な分析を実施したい時は、より多くKPIを設定することをおすすめします。
以下では、LTVをKGIとした場合に設定すべきKPIの一例を紹介します。
継続率(リピート率)は、新規顧客がどの程度の確率でリピートしたかを示す数値です。
少子高齢化による人口減少が懸念されている現代では、どのようなビジネスにおいてもリピート率が重要です。リピート顧客は、安定的に企業の売上を下支えしてくれる存在であるためです。また、リピーターが多い企業は、自社の商品やサービスによって「顧客に価値を提供できており、顧客が満足している」可能性が高いです。
※可能性と記述したのは「サービスや商品を利用していないが、解約することを忘れて契約を続けている」「特に満足はしていないが、代替選択肢がないため仕方なく」などの理由で継続している場合も考えられるためです。リピート率は重要な定量的経営指標ですが、ユーザーの定性面が見えない部分もあります。そのため、定期的に顧客調査や後述するNPS分析なども並行しておこないましょう。
h4 解約率
解約率は、継続率(リピート率)の正反対の性質で、すべての顧客の総数から解約を選択した人の割合を指します。
解約率は、近年増加しているサブスクリプション(利用期間に応じて費用が発生する)型のビジネスモデルにおいて重要視される指標で「チャーンレート」とも呼ばれています。
サブスクリプション型のビジネスでは、一定期間ごとに契約の更新と解約を選択します。契約更新にあたり、顧客満足度が低いと解約される可能性が高くなるため、CRMの指標としても重要です。
また、解約時には、解約した理由をフィードバックしてもらい、自社のサービスを不満に感じる理由を収集し、管理することが大切です。このような顧客の声を通じて業務改善を行うことで、顧客に寄り添った価値の高いサービスを提供できるようになります。顧客からのフィードバックを反映できる仕組みを、社内に構築しましょう。
CRMを活用する経営手法では、顧客が満足することで自社商品やサービスの継続利用を促し、LTVを最大化するのが目的です。従って、アップセルやクロスセルによる顧客単価の増加も重要な評価指標となります。そのため、アップセル率やクロスセル率が有効なKPIとなります。
ただし、キャンペーン施策などの期間限定でアップセルやクロスセルを狙うケースも多くあります。その場合は、顧客がキャンペーン終了後に解約する可能性があるため、顧客の動向を中長期で観察する必要があります
NPS(Net Promoter Score)とは、特定の企業やブランドの商品・サービスに対して、利用者がどれほどの愛着や信頼を置いているかを数値化したものです。この数値が高いほど「顧客ロイヤルティ」が高いと言えます。
NPSの計測には、一般的に顧客からのアンケートを使います。たとえば「この商品を周囲に勧めたいと思うか」という質問を行い、0から10までの11段階で回答してもらいます。この回答のうち0から6までの回答者を「批判者」、7から8の回答者を「中立者」、9から10をつけた顧客を「推奨者」に分類します。この推奨者から批判者を差し引き、数値化したものがNPSです。
NPSが高いということは「推奨者が多く、批判者が少ない」ことの根拠となるため、企業の収益に直結する指標となります。
関連記事:NPSとは?調査方法から分析/活用方法まで全て解説
https://digipara.comix.co.jp/wp/media/digital-marketing/961/
また、KPIの設定には、以下の4つのメリットがあります。
KPIの設定により、目標を達成するための行動を明確化できます。KPIの達成に向けて各部門の社員がとるべき行動や、達成すべき成果の目安を共有できるため、目標達成のプロセスを立てやすくなります。
適切なKPIを設定することで、目標達成までのプロセスを可視化できます。
先に解説したように、KPIを設定する目的は、企業がとるべき行動を明確化することです。そのためには、具体的な数値目標と期限の設定だけでなく、実現の可能性も設定しなければなりません。
これらを設定した上で、目標達成までのプロセスを具体化し、共有しましょう。
KPIの数値を企業内の各部署で共有できれば、それぞれのスタッフが共通の目的や指標の実現に向けた取り組みを実施しやすくなります。
KPIを設定することで、指標の達成度合いに応じた評価基準を明確にできれば、目標達成に至るまでの課題や問題点をスタッフ間で改善可能です。
これにより、目標達成に向けた各スタッフのモチベーションが向上し、組織全体の能力向上が期待できます。
適切なKPIを設定することによって、企業組織内の評価基準が統一できます。評価基準を数値化できていない企業では、業務に従事するスタッフを適正に評価できません。
その結果、必要な人材を必要な部署に配置できず、コア業務にミスマッチが起こるケースも少なくありません。そこでKPIを設定し、客観的な指標を設定することで、事業の進捗度合いに合わせた適切な人材配置と分析ができます。
また組織内の人材を公平に評価できるため、業務の可視化だけでなく、人事評価の適正化も可能です。
CRMを活用したマーケティングでは、まず最初に「顧客情報を集める」必要があります。
顧客情報の収集を行う際は、まず顧客属性に関する情報となる「氏名・性別・年齢・家族構成・勤務先・学歴・職歴・住まいの種類・収入・住所・電話番号・メールアドレスなど」を収集します。この顧客属性のデータを収集・管理することで、自社の商品やサービスをどのような人がどの程度の頻度で購入しているかを分析できます。
顧客属性に関するデータを集める方法には、会員登録やポイントカード、POSレジから上がる情報からの収集などがあります。BtoC領域では、この顧客属性の情報がマーケティングの重要な要素となりますが、顧客のプライバシー保護が優先されるため、現代では収集が困難な状況です。
そこで、企業のWebサイトやSNSなどを活用して、顧客やユーザー属性を確認するのも良い方法です。また販売元と協力して「いつ・どこで・誰が・何を・いくらで・どのように・どれくらい購入したか」といったデータを収集することで、さらに詳細な分析が可能となります。
そのためには「取得した顧客情報を管理すること」が最も重要です。収集した膨大な顧客データを無駄なく活用するためのツールが『CRMツール』です。
CRMツールでは、顧客情報を数値化できる「定量データ」と、数値化できない「定性データ」に分類して管理します。どちらのデータも、CRMを活用したマーケティングに欠かせない情報なため、企業の目的に応じて適正な管理を行いましょう。
収集・管理した情報をマーケティング活動に活かすために「分析」を行います。そして分析した結果を基に、顧客をそれぞれの属性ごとに分類するのが「セグメント」です。
セグメントの手法も、企業が扱う商品やサービスによって使い分けるのが一般的です。セグメントで使われる分析方法には「デシル分析」「RFM分析」「CTB分析」などがあります。
「デシル分析」とは、顧客を購入金額ごとに分類する方法です。分類した顧客層の属性から、どのような顧客がいくらくらい購入しているかを確認できます。そのデータを基に、自社の商品やサービスを最も購入してくれる顧客ターゲットの設定ができ、効率よくリードを獲得できるでしょう。
「RFM分析」とは「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」を意味し、この3つの視点から顧客の行動を分析します。そして、それぞれの項目をスコアリングしてグループ分けを行います。RFM分析は優良顧客の選別がしやすいのが特徴で、顧客のロイヤル化を進める際におすすめの手法です。
「CTB分析」とは「Category(商品カテゴリ)」「Taste(色・サイズなどの嗜好)」「Brand(ブランド)」の3つの視点から顧客をグループ分けする手法です。CTB分析の目的は、各カテゴリのグループごとの嗜好などを把握し、それぞれの属性の顧客にあったアプローチを図ることです。RFM分析やデシル分析が定量的な要素を重視するのに対し、CTB分析では商品のカテゴリやブランドといった定性的なデータを重視した分析なのが特徴です。
自社ECを展開するアパレルメーカーを例とします。
当社では、自社EC運営により、顧客データを保持しています。
まずは、RFM分析から、優良顧客、普通顧客、離反顧客に分類を行いました。
その後、優良顧客の分析を行い、購入頻度・一度の購入金額・性別・年齢の傾向を特定することができました。
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購入頻度:1か月に1回
一度の購入金額:2万円
性別:女性
年齢:30代
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上記のデータを基に、施策を行います。
優良顧客に対しては、さらなるロイヤル化を目指し、送料無料や限定クーポンが発行される有料会員制度を新たに設計し、アップセルを狙いました。
また、普通顧客の中でも優良顧客の傾向に近い顧客(例:購入頻度は1か月に1回だが、購入金額が5,000円〜1万円)に向けて、購入時期から1か月後にリテンションメールを送付するようにしました。
メールの内容は、季節物商品の他、顧客の購入商品に合わせて、クロスセルを狙っています。
その他、普通顧客の中で、優良顧客のプロファイルに近い顧客(30代女性で、特に購入商品の傾向も優良顧客に似ている)に向けて、一般のメルマガにプラスして類似商品の紹介メールも送付し、引き上げを狙いました。
※ただし、顧客の層に分けて施策を行う際、細分化しすぎてしまうと施策リソースが多量にかかってしまうため、リソースの分配やどの顧客までアプローチに力を入れていくかの見極めは重要になります。
このように、RFM分析で顧客を分類し、それぞれの顧客にパーソナライズ化した施策を行うことによって、顧客のロイヤル化や、単価の引き上げを行うことが可能になります。
各分析結果を基に、自社の商品やサービスにあったセグメント分けを行います。企業活動で収集した顧客の定量的なデータや、定性的なデータを活用しながら、上記の分析方法で顧客をセグメントします。このセグメントした顧客に対し、適切な施策を実施するのがCRMマーケティングです。
顧客情報を収集し、管理・分析・セグメントが完了したら、それぞれの顧客に対してマーケティング施策を立案し、実行します。
マーケティング施策の内容は企業が扱う商品やサービス、顧客属性によって異なります。上記の分析結果を基に、顧客がロイヤル顧客化するためには、どのような顧客体験を実現するべきか考えましょう。
例えば、事前予約を入れてくれたリピートユーザーに対して、前回の来店時情報や今までの購入履歴を基に、接客方法やおすすめ商材の説明を変えたり、商品発送時に顧客にマッチした手紙を添えるといった施策を計画し、実行します。
このように、オンライン、オフライン共に顧客の体験の質を向上させることで、企業に対するロイヤリティを向上させることができます。
企業ロイヤリティを向上させると、競合他社の商品にスイッチする可能性が低くなります。
顧客は、商品の質や値段だけで判断しているのではなく、提供元の企業の対応も見て、継続して商品を購入するかどうか判断しているためです。
マーケティング計画に基づいた施策を実行したら、その後に必ず効果を検証しましょう。
検証する内容として、期間や施策の達成度合いなどから、施策が計画通りにできたかを客観的に検証することが重要です。
CRMマーケティングでは、いつも良い結果が出るとは限りません。もし結果が良くない時は、そのプロセスや結果をさらに分析し、検証しながら新しい施策を計画・実行しましょう。
このように、CRMマーケティングでは、検証した結果からPDCA(Plan・計画→ Do・実行→ Check・評価→ Act・改善)を回し続けることが重要です。
CRMには、顧客管理に必要な基本機能として、次の5つの機能があります。
・顧客情報管理
・メール配信機能
・問い合わせ管理
・外部サービスとの連携
・分析・レポート機能
以下で、それぞれについて解説します。
CRMツールを活用する際に、もっとも基本的となるのが顧客情報の管理機能です。
自社の商品/サービスの購入や、お問合せ履歴がある顧客の、下記のような情報を管理します。管理する際は、個人情報が含まれるため、厳重な管理が必要です。
・氏名
・性別
・年齢(生年月日)
・住所
・メールアドレス
・電話番号
・家族情報
・過去の購入履歴・問合せ情報 など
CRMツールのメール配信機能では、下記のような情報を顧客に自動配信します。
・セールス情報
・イベント情報
・キャンペーン情報
この機能を活用することで、これまで顧客へ個別に配信していたメールではなく、セグメントしたグループごとに、必要なメールを、必要な内容に応じて配信できます。
また、ステップメール機能やアフターケアメールなどを併用することで、さらに効果的な顧客フォローが可能です。
自社に顧客から直接届いた問い合わせメールや、Webフォームからの問い合わせは、CRMツール内で管理され自動的にカテゴリ分類・管理されます。
そして顧客サポートの担当者がこれらの問い合わせに対応する際には、CRMツールのサポート機能を活用することで、顧客満足度の高い対応が可能となります。
CRMツールには、以下のような問い合わせ管理機能があります。
・回答用のテンプレートメール機能(作成機能あり)
・過去の類似したQ&Aの参照機能
・顧客の詳細情報を参照できる機能
・特定顧客の問い合わせ履歴の参照機能
これらの対応履歴も顧客管理データとして蓄積されるため、常に自社のCRMがブラッシュアップされます。
自社で採用するCRMツールによって異なりますが、CRMツール管理画面では、GmailやOutlookのほか各種SNSのアカウントとの連携が可能です。
CRMツールの導入を検討する際は、自社が使用している外部サービスとの連携機能があるCRMツールを選ぶと良いでしょう。
CRMツールでは、顧客の購買・消費行動の分析やレポートを抽出できます。この結果を基に、それぞれの顧客に向けたキャンペーンのお知らせを配信できます。
例えば、一人暮らしの顧客には単品割引の案内を送り、家族でお住まいの顧客にはセット割引のまとめ買いの案内を送るといった施策です。
このような顧客分析やレポート機能が使えるのも、CRMツールの大きなメリットです。
CRMツールを企業で挿入する際は、ぜひ以下のポイントに注目して選択してください。
・自社に必要な機能が揃っているか
・UI(ユーザーインターフェイス)が使いやすいか
・外部ツールとの連携は問題ないか
・セキュリティ品質は高いか
・サポート体制は整っているか
自社にとって必要な機能が揃っているかについては、導入前にわからないことも多いため、まずは自社で管理したい内容や、今後のマーケティング方針などを明確にしましょう。
自社の方針や目標を設定できれば、企業規模や予算に応じたCRMツールを探しやすくなります。
UI(ユーザーインターフェース)とは、ツールを使う際の入力装置などを指します。自社で使い慣れている機器が使えるかどうかなど、ツールのメーカーに問い合わせるだけでなく、デモ機などで試してみるのがおすすめです。
外部ツールとの連携では、必ず自社で使用しているツールや、今後導入予定のあるツールが連携できるかを確認しましょう。まだ外部ツールを導入していない場合は、できるだけ汎用性の高いツールを選ぶのがおすすめです。
CRMツールは、顧客の個人情報を管理・分析するツールであるため、取り扱う情報は厳重なセキュリティの下で管理しなければなりません。そこで、CRMツールのセキュリティ品質を確認してから導入しましょう。
CRMツールには、上記以外にもさまざまな機能が備わっており、高機能な製品が揃っています。しかし、これらの機能を使いこなせなければ意味がないため、導入後もサポートが充実したツールを導入しましょう。
国内企業が提供するツールは、迅速なサポートや、日本的な経営にマッチした提案をしてくれるメリットが多い特徴があります。
最後に、CRMツールを4つ紹介します。
『うちでのこづち』は、おもにEC通販システムとの自動連携を用意しており、顧客分析からCRM施策・効果検証までをワンストップで管理できます。
CRM分析とマーケティング施策において、必要な機能を十分に揃えたCRM・マーケティングオートメーションツールです。専門性・独自性・安全性のそれぞれに強みがあるCRMツールとなっています。
ゾーホージャパン株式会社が提供する『Zoho CRM』は、世界中で25万以上もの企業に導入実績をもつCRMシステムです。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの、他社製のCRMのデータもインポートできるため、導入に伴う負担を最小限に抑えられる可能性があります。
各企業に合わせたカスタマイズも可能なため、業務への導入もスムーズに行えるでしょう。
SHOP FORCEは、店舗ビジネスにおすすめのツールです。お客さまのリピート促進や顧客管理、新規獲得に至るまで、お客さまとのつながりを築くためのプラットフォームです。店舗のブランドを表現するにあたり、お客さまとの接点となるアプリのUIはロイヤリティを高める最も重要な要素のひとつであると考え、それぞれの企業のブランドイメージに沿ったアプリデザインを実現できます。
『LTV-Lab for futureshop』は、ECサイトのカートシステムと連動して、顧客にメール配信/ステップメール配信できるCRMシステムです。顧客の購入商品や金額、購入期間などから顧客をセグメントして、最適な顧客にメール配信やステップメール配信(無制限)できます。これらの機能により顧客をナーチャリングし、顧客ロイヤリティ化にも役立つでしょう。
CRMの概念やCRMツールの導入により、企業がこれまで管理・分析しきれていなかった顧客の行動を見える化し、マーケティング施策に落とし込んだ対応が可能となります。
顧客が商品やサービスを購入するチャネルが増加する一方で、提供する企業側の淘汰が止まりません。このような流れは、CRMツールの導入により的確なマーケティング活動ができているか否かによって大きく左右されます。
今後さらに加速するであろう買い手市場マーケットにおいては、自社の商品やサービスに合ったCRMツールによる顧客分析と、マーケティング施策が欠かせません。
この記事を参考に、ぜひ自社にあったCRMツールの導入をご検討ください。
このように、CRMマーケティングを実践することで、既存顧客との関係性を強化しリピート率を高めることができます。集客コスト(CAC)が年々高騰をつづけている現代のビジネスで成功するためには、既存顧客との良好な関係構築が重要です。
また、CRMマーケティングを行うことで、消費者のニーズを把握できるため、顧客満足度の向上にも繋がります。顧客満足度が高まることで、自社商品/サービスのブランド価値も高まるでしょう。さらに、CRMマーケティングで集めた顧客データは、商品/サービスの改善や新商品の開発など、今後の経営戦略にも役立てることができます。
このように、CRMマーケティングにはさまざまなメリットがあるため、企業にとって重要な戦略となっています。
オンラインのお打ち合わせにて、業務委託の活用方法や候補者をご提案をいたします。